むっちりとしたコットンジャケットを見て欲情した為、
むっちりとしたコットンのシャツを引っ張り出してきた。
「僕にとってのセックス・アピールは、リラックスしている人から感じるかな。
人間、リラックスしていないと絶対セクシーになれない。
セクシーな人たちはたいてい、自分自身に対してもとても心地よく感じている場合が多い。」
―――トム・フォード
ガチムチ、シャツを第4ボタンまで開ける着こなし、
あやしげでつぶらな瞳、そして、退廃的ないかがわしさ。
グッチが驚異的な回復を遂げたのはこのデザイナーのおかげだとよく言われる。
1995年、倒産寸前で25万ドル位だった売上が、5年で20億ドル超、更にはその後40億ドル超のブランドへと変身した。
その後のディオール、ジバンシー、ルイヴィトンなどを見ても分かる通り、ファッション業界において「老舗ブランドの若手デザイナー起用」のモデルケースとなった。
だが、無事に経営再建できた要因は、若手だったからというのはただの一要素に過ぎず、
彼の販促にかける情熱・享楽や、儲けへのハングリーなスタイルにあったということがわかる。
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シャツドレッサーにとって、トム・フォードにはもう一つの側面がある。
ターンブル&アッサーの後を継いだボンドシャツであるということだ。
09年以降、ダニエルクレイグ演じるボンドが着るシャツはトム・フォード製となった。
ブリオーニが担当になった頃は、スーツは変わってもシャツはそのままターンブル&アッサーだった。
トムになってからシャツまでが変わったのだ。
これも彼の販促手法の一つなのかもしれない。
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ディティールは凝っている。
巻き込むように脇身頃に縫いこまれたガゼット。
随所のカンヌキ。
足がしっかりついた白蝶貝ボタン。
襟や剣ボロなどの柄の一致。
そのいかがわしいながらも鈍く光る佇まいからラグジュアリーブランドに感じていたのだが、
こういう所を見ると、そういえばデザイナーズブランドだった、と思わされる。
上質な生地を用いて、しっかりとこだわって作られている。
それにしてもここまでラグジュアリーな雰囲気のデザイナーズブランドは面白いなと思う。
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シルエットは構築的。
ああ松本さん(ato)、これも身体に喧嘩を売っている服です。
私には着られません。
かといってライザップもできません。
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生地はかなり厚めでしっかりしたものを用いている。
そして襟芯が大変に硬い。
ここはブリティッシュを意識しているのだろうか。
少しパターン的に窮屈に感じる所はあるが、やっぱり襟型は綺麗。
ちなみにトムフォードのシャツはターンブル&アッサーより高い
しかもべらぼうに高い。
先週カジュアルなシャツのタグをめくったら6万5千円と書かれていた。
ナポリのシャツより高い。
こんなものに金出すヤツの気がしれないね。
まったく。