目黒川は世間では桜の名所として有名である。
しかし学生の頃の私にとって目黒川のあの通りは、
「玄人向けドメスティックブランド集積地」だった。
そしてrip van winkleも川沿いに店を構えていた1店舗である。
おっかなびっくり行ったのを憶えている。
細くて長く、長髪。
ヒゲが似合って痩せマッチョ。
そのどちらかのタイプの人しかいなかった。
酒袋の素材を使った定番のパンツが欲しかった私は、
「ボタンフライのパンツは全否定する」ポリシーを押し殺し、
大枚をはたいてそのゴワゴワなパンツを購入した。
(のちにこのルールはgreen、マルジェラ、SOMETとなだれ式に崩される)
結局そのゴワゴワなパンツは3回くらいで着なくなった。
ワイルドさ?が無い自分には似合わなかったのである。
「欲しい服」と「似合う服」が違う、と思わされたいちばん最初の事故だった。
じゃあなんで当時買ったの?となる。
サイズがぴったりなのだ。
細いつくりになっており、恐らく通常は筋肉質な男がタイトに着るのが主だろう。
しかし自分の場合ジャストサイズ(ある程度余裕がある意味で)で着られる。
そういうわけで、ラフな格好で許される学生時代は大変お世話になった。
かなり目の詰まった重いリネンでできており、
着こむと身体の動きに沿ってなじむ。
あっ、この仕様は・・・。
そう、キャロルクリスチャンポエルとかドリスよろしく、2枚接ぎで立体的な作り。
背中も2枚接ぎ。
スプリットヨークでは無かったよ。
でも着なくなった大きい理由はこの木のボタンだったり。
ジャケットのナットボタンは、薄めであれば使い込むうちに色が濃くなっていく、
というエイジングがあるが、なぜこのシャツはこの色にしてこの形なのかと。
この形なのかと。
往々にして細かい所で妥協して買った物の方が、後悔が強い。
いや、違うな。
反省はしているが後悔はしていない。
なぜなら、シャツだから。
Roy
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Thx for the Great story !
I know rip van winkle from 岩井俊二’s movie " リップヴァンウィンクルのは花嫁"