ニットの良し悪し、わからない。

失われた特級品、シルクカシミヤのひとたち

そもそも布帛だからってわかっているわけでもない。だけど、なんとなく「トゥモローランドのニット」を信頼している。

元々はセレショのオリジナル製品のどれが良いか、を確認していく中で、ジャケットの型が気に入ったのがトゥモローランドだった。そこからの付き合いなのでもう15年弱になる。その中で地味に響いてきたのがニットだった。

カシミヤ35%・ウール35%・シルク30%。肌ざわり重視で、トロトロ。発色も素晴らしかった
これは後任。ウール45%・シルク30%・カシミヤ25%。ウールの割合が増えたが、弾力が加わり都会的になって、完成度が高い生地だった
カシミヤシルクのハイゲージ。クルチなんとかやらと変わらない

トゥモローランドのニットは基本的に肌触りが良い。触ってもらえばわかるけど、デザイナー物とかで出くわす「ちょっと硬めだな…」というものはまず無い。それに、カシミヤもしっとりして艶が揃っているものがほとんどで、毛が腰折れしているような悲しいカシミヤは無い。

発色も総じて良いので、置いてあるとつい手に取り、肌ざわりの良さに惹かれて気付くと購入していた。結果として、普段シャツを着ていてニットをあまり着る人間ではないのに、クローゼットのニットはトゥモローランドばかりになっていた。

メリノウール100%。元々は他のセレクトショップで比肩するのはSOVEREIGNのオリジナルくらいと思っていたが、最近はBeamsFのイタリアシリーズとかも良くなってきており、品質に差が無くなってきたと感じる

また、バリエーションが豊富で「これがPB…?」と思うようなミドルゲージやローゲージのニットが並んでいる。

ミドルゲージ・ローゲージも基本はトゥモローランド。

当時はセレクトショップで、「おっ、良い柄だな~」と吸い寄せられ、手に取った瞬間に粗末な肌ざわりにがっかりする、という事がよくあったが、まずトゥモローランドのPBでガサガサ系・首元チクチク系に出くわす事はない(といっても最近は技術革新もあり、ほとんど出くわすことがなくなってきているのかもしれない)。

また、当たり前だがブランドと比べ安価である。店内でジョンスメドレーのニットと同じような型が並んでいたことがあったが、どう考えてもPBの方が安い上、何なら初手の肌ざわりはPBの方が上に思えた。最近は店側もそういう共食いになるバイイングをしていない。

綺麗でダサい、ということもある

ただし、やはりワイルドというか、素朴というか、粗野な良さを持つニットの代わりにはなり得るものはない。スコットランド系のものとか、手編み系のバルキーニットとか、一部のカルト系デザイナーのものとか。あくまでも都会的なものしか出来ないので、エルダーステイツマンとかニットブラリーみたいなのは当然出せないし、イニシュマンとかインバーアランみたいなバランスを目指すとしくじってセール行きになる印象がある。でもやっぱり質はいい。つくりもいい。普通にニットを求めているうちは充分な気がしている。

ただ、実は自分がニットをそれほど着ないという事がわかってくると、一体今まで自分は何を買っていたたんだろう、と思ってくる。