2010年師走、ファッション業界に「ついにか」とニュースが流れた。
2011年3月をもって、代官山のアローズ系列のセレクトショップ、時しらずが閉店―――。
セレクトショップらしい、意志をはっきりと持った店。
それが時しらずだった。

以前、だいぶ前にビームス(特にインターナショナルギャラリービームス)のバイヤーの話を何かで読んだ。
6年位前だっただろうか。
ビームスは先見の明を自負しており、「流行ったものは積極的に取り扱わない」という意志を持っていたそうだ。
確かにその頃はIGビームスに行けば見たこともないブランドが並んでおり、
さらにテイスト・世界観ごとに場所が区切られ、これぞセレクトショップという感じだった。
何しろ楽しかった。(今でもゾーニング等、魅せ方がうまいことに変わりはないが)
その当時、個人的にはビームスの方が気に入っていたのだが、
Districtと時しらずにより、アローズの凄さに仰天した。特に時しらず。
新しいブランドばかりで、そしてコンセプトの「ハイストリート」。
ハイストリートっていうものはこういうものなのか、と学習した。納得もした。
あれだけコンセプトが明確なセレクトショップって無かったのではないか。

ワイドカラーでチェックシャツ。
シルエットは細身で、ストリート感ある独特なチェック。

でも細部はこだわっており、ガゼットもあるし

ボタンも厚いものを使用して丁寧な仕上がり。
夜遊びなんかにいいシャツだなと思わせる。
だが、一方で撤退に納得もした。
ハイストリートは、言ってみればハイセンスな人達がターゲットなんだろう。
遊ぶ大人、というか。
彼らは流行に敏感なので、時代の価値観に染まりやすいのではないか。
保守的な、シンプルファッションがもてはやされる今。
「外見より中身」「モノより思い出」「コト志向」な今。
やっぱり難しい分野だったのかもしれない。
もちろんアローズ自身、経営多角化をやめて集中を選んだっていうのもあるのだろうが。
あれ以降、本当代官山に行かなくなった。
楽しみが消えていくのは悲しい。