※某アーティストのヤンキーホテルを意識したつもりではない。
ターミナルのリニューアルがすすむ新宿を歩きながら高層建築は偉大であり色気があるなとぼんやり考えていた。
色気、というものを人間以外に初めて感じたのは植物である。
草月流の生け花などは恐ろしいダイナミズムを持っておりむせかえるような気迫を持つエロさである。
有機性に満ち溢れていながらそれでいて静かにリラックスして佇んでいる状態に私は色気を感じる。
中銀カプセルタワービルを設計した黒川紀章は建築のモダニズムを志向する中で有機的な建造物こそが今後の都市生活に必要である旨をメタボリズムという建築運動を提案しながら滔々と説いた。
結果的に大阪万博以降その運動は四散し自発的新陳代謝を行う巨大都市計画・海上都市アクアポリスや新宿空中都市計画は実現しなかった。
現代では人々は自らの体が細かな細胞から構成されており、その一つ一つを感じて慎重に生活していこうと気を付け始めたように思える。
一つの大きな森でありながらも木の一本一本の動きを子細に感じ配慮できるような状態を自然と志向している。
それは建造物においては相似化したユニット・モジュールが自発的なシステムによって都市にフィットした形で組み替えられる様、そのような理想と似ているようにも私には思える。
有機性は色気を生み出し色気はまた美の一要素となる故その建造物も美しいものとなるのだろう。
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