これはマルジェラのレプリカラインのシャツについての記事のつもりだが、恐らくそうはならない。

予めご容赦願いたい。

マルタン・マルジェラのレプリカラインのシャツ。

イギリスの1960年のものをベース(?)にしている。

マルジェラは以前一度書いたが、まあ別ラインだしということで。

私は恵比寿でこのシャツを手に取り、レプリカラインという物が何なのかの説明を店員から聞いた。その内容は一言も覚えていない。その店員に対して「マルジェラってどんなデザイナーなんですか?」と聞いたが、それも覚えていない。マルジェラの店員が顧客に服以外の事を尋ねられた時、どのように返答すれば顧客が満足すると考えているのかについて興味がある、というようなことを伝えた覚えもある。意味はなかった。

 

私は古着を通っていないので、こういう所がわからない。古い仕上げを採用しているのだろうが、フレンチシーム?袋縫い?いやそれは同じか、なんというんだこれ。

私が最初にマルジェラを知った時には、既に「マルジェラについて語ることはギャルソンについて語ることと同じかそれ以上にハードである」、そういう観方をされていたように覚えている。

素性を明かさないデザイナーなど珍しくはない。のに、その支持層の裾野が広いシンプルな服と複雑な解釈を生むアプローチが、スノビズムを煽る煽る。ファッション界のトマス・ピンチョンなんて、そんな大層な。

 

釦。クロス掛けである。

サックスカラーのオックスフォードに似たやや厚めの生地。

フロントプラケットで7釦。

最下段はボタンホールの向きが横なのだが、1960年からこのディティールはあるということだろうか。

レプリカラインが「完全に同じものを良い素材を用いて可能な限り同ディティールで復刻する」というものであればよいのだが、多分そうではないだろう。

 

ボタンダウンなのはわかる。わかるが、意味不明だ。留めるべきなのかどうか。うむ。全然わからない。俺たちは雰囲気でシャツをやっている。

 

ちなみにインナーでしか着ていないのでカレンダータグは外していない。襟元がガチャつくこれをどう着ればよいか未だにわかっていない。迷いながら付き合おうと思う。

 

私はマルジェラに対して過去にブランドの解体を期待していたことがある。星の教団が指導者の指揮のもと解散するように。しかし今ではこの表徴の帝国さながら中空の組織「マルジェラ」の在り方がそうではないと理解しているので、このままマルジェラがメゾン系ブランドと同じ流れを辿ろうとも、どう変容していくのかに興味がある。