大体デザイナーというものは、ほかのことは全部無能でも、人それぞれにどんな洋服が似合うかというセンスぐらいはあるはずなのに、あなたは自分に似合う衣装がどんなものかもわからなくなったのね。それはただのモウロクですよ。

三島由紀夫 “三島由紀夫レター教室”

フィナモレって言われてイメージするのは緑色の神殿タグなんだけど、あれはいわゆるセルジオという襟型でカジュアルシャツ業界を席巻したスポーツライン。10年以上前にこのブログで書いた記憶がある。

高い襟から後ろに流れるカッタウェイカラー、それがフィナモレの十八番だったが、じゃあドレスシャツラインはどうなの、という所でこれはドレスシャツのライン、finamore 1925である。

ヨークの星縫いは綺麗なほう
襟端2mmのステッチは1cmで10針と非常に細かい

結論からすると生地も縫製も申し分ない。手作業も十分入っている。イタリアにはエレガンテという表現があるが、ドレスでは中心部分から端に向かえば向かうほどシャープな印象を伴うことをそう捉えている。恐らく意味は十人十色なのであまりこんな事を言ってもしょうがないのだが、ロランバルトと誰かがそんなようなことを言っていた。

ボタンも良かった、だがロゴ入である

ベージュ色のブロードシャツも持っているのだが、着ると小洒落たカフェ店員になる。それがストライプとなると、途端にいなたくなるのは気のせいだろうか。ネイビーにも合わせづらいし、ブラウンのジャケットに合わせると少し遊びが効きすぎる気もする。するとじゃあ何に合わせるのか、という話。黒パンに合わせてシャツイチだとカフェ店員化の恩恵を受けることができる。黒いニットタイを締めて袖を捲り上げてね。ただ、やはりタイドアップしづらい。ネクタイがしっくりくるものが限られる。通常のドレスには使いづらいアイテムだなと思う。

ただ、カフェ店員スタイルなりが似合うかがさっぱりわからない。茶ストライプって似合う人が本当にいるのだろうか。木曜、こんな難しいアイテムを選んでしまうくらい、メンタルが良くない曜日。金曜まであと一歩。週内で畳めるようにとみな思っているのか、金曜を前にしてだいたい仕事が立て込む。難しい。もう諦めて週明けにパスしたい。でも未来の時間をアテにすると大抵ろくなことがないので忍ぶ。モノは良いシャツなので、ストレス耐性を増加させるバフがかかると信じて。

肩のギャザーはあくまでも控えめで、バランスが取れている