洗濯機が生み出したボロ布ブランド、ケーシー・ヴィダレンク(現ケーシー・ケーシー)のシャツの紹介である。

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ここの作品で最も有名なのは恐らく、ぐったりしたジャケットである。きっと、ARTS&SCIENCEのジャケットのソースはここなのではないか。

ほぼ全ての商品からただよう、「洗濯機でぐるぐる洗いました」「手染め、手絞り、手縫いです」というクラフト感。あまりにも手作業感が出ており、尚且つ染めや縫いに特徴がありすぎるため、唯一無二感が色濃い。大抵クリエイティブな仕事をしている、ウェリントングラスをかけ顎髭を少し生やした「サードウェーブコーヒーはもう古い」と言って自宅でturkで豆を煎ったりしてる人が着ている、そんな偏見を持っている。

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くったくたに仕上がっているため、いくらシワシワにしても気にならないし、軽い。そのため、カーディガンのごとくバッグのなかにグシャグシャにして突っ込んで、肌寒いときに羽織ったりして使っていた。だがあまりにも「ケーシー・ヴィダ夫」感が出てしまい、このままではdistrictに行った時に「おう、お前もやってるんだろ?」みたいな笑顔をいただきそうなのが辛くてお蔵入りに。

 

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ただ、染めや加工がたいへんに綺麗で、自然光のあたり具合の強弱でちらりと美しく見えることがあり、布の鑑賞物としては優秀。写真のように軒先に垂らしておくと、風に揺れた時に風情を感じて良い。ずばりシャツである必要はない。残念。

 

 

シャツというより雰囲気のある布、に近い。古いコットンを使っているという説明もなんだか「ふむふむ」と思わされてしまうぐらい雰囲気はある。本当かどうかは知らないが、強めに洗いまくってたらどれもアンティークっぽくなるのでは。なんだこれは、試されてるのか。

 

当然つくりは普通であり、パターンとかこんなに洗っちゃってるのでどうこう言う余地はなく、そういう服ではない。

ちなみにケーシーとヴィダレンクでやっていたブランドらしいが、今は片割れが辞めてしまったのでCASEY CASEYと名前を変えて一人でやっているらしい。雰囲気はまったく変わっていないので、たぶんファンと共に長く地道に生きていくブランドになるのだろう。