ジバンシー?

ヘップバーンの愛用ブランドだっけ、ああ後任にマックイーン指定してったやつね、ああリカルド・ティッシか~あの人よくわかんないゴスいデザインしばしばやるよね、というレベルの認識しかない。

要するに、ビッグネームの割にはどんな功績だったのかがよくわからない、というかよく知らない。それが自分が持つジバンシーへのイメージだ。

 

ただ、モードの神童とうたわれたユベール・ド・ジバンシー、彼は存命である。

94歳でまだ元気なピエール・カルダンと同じく、ファッション界で功績を残したアラナインのデザイナーとして覚えている。

二人とも、クリストバルの下でアシスタントを務めていた。

 

このシャツはプレーンなホワイトシャツ。

襟長は5.5cm、カフは5cmで、コンパクトな印象が強い。

ただシルエットはスリムではなく、短丈であるものの、裾にかけてやや広がるAライン。

 

小襟でステッチ無しのよくあるモードな印象のシャツ。

生地はものすごく薄く、羽衣、といった感じ。よく夏場に着ていた。

シルエット自体が太めで生地が軽いので、カーディガンのようにふわっと羽織って袖を捲れば良いバランスになる。アイスブルーのデニムとグレーのスニーカーによく合わせていた。

こういった着方は、当時のユベールが目指していたエレガンスでは無いのかもしれない。ただジバンシーの服はユベールが言ったように「どのように着るか」が問題なのであって、クリストバル・バレンシアガの構築的な意志を込められた服とは少し異なる。

デザイナーのプレタポルテを初めて世に出したのも彼だ(カルダンの方が取り上げられがちの気がするが)。シックで落ち着いた品を纏った服、ユベールはそういう服を市民が自由に纏い、そのエレガンスが街に満ちるのを望んでいたのではないだろうか。

 

奇を衒うようなものはなく、細部も特にこだわったつくりはされていない。

剣ボロのジバンシーロゴが唯一のアイコンニックなところ。ここにさり気なく持ってくるセンスはほかのメゾンも見習ってほしい。

左胸や襟は無論やめていただきたいし、腹や裾のガゼットに持ってくるのもイマイチ。ジャンネットの太陽のように前立てに持ってくるのも嫌らしい。控えめなデザインで同系色・剣ボロ、それなら良い(欲を言えば下ボロが良かった)。

 

ジバンシーというブランドを経由した者たちの中には、有名なデザイナーが二人いる。

ユベールに指名され、95年のパリに若さを必要としていたアルノーに引っ張られたガリアーノ。

そしてもう一人が、マックイーン。次回。

それでは良いお年を。