白は間違いがないという理由で、日本人がもっとも好む色だ。「通る電車。白シャシぎっしり充ちて過ぐ」と詠んだのは、山川樗子である。

だが、日本人の肌の色に合わないという欠点がある。 

落合正勝
真っ白な心に惹かれ 真実をさまよえば~

いや、まさかね、自分が白いデニムというか白いパンツを履くだなんて十数年前は思いもしなかった。薄手の白いパンツから下着が透けてる禿げ上がったオヤジとか、白いチノにHavaianasでグラサンをかけたチョイ悪系のおっさん、白いデニムでオラオラしてるおにいちゃん。当時若かった自分からすると、陽のあたる人が履くアイテムであった。

フロントボタンはtukiを彷彿とさせる
腰裏にはロッカーループがある。結構邪魔な厚みを誇る

もともとはCOSMIC WONDERの白いスタイルだけは許容しており、(でもあんまりスピってる方向に行くとあざといんだよな…)と思いながら、いやらしくない白いデニムなら履きたいと思っていた。

昨今のダッドデニムの流れで、太目、かついやらしさをあまり感じさせない直線的なアウトライン、というのが決め手となり勇気を出して入手。心のどこかで「もうおっさんだしな…」と思っていたのも否めない。おっさんは白いアイテムに自らが失った清潔感を求めてしまうのかもしれない。さらにその行為自体が”不潔である”ということもわかっている。そこにこそ、おっさんが背負う悲哀があるのだ。

フロントポケットはバーティカルでシームに紛れている。コインポケットは水平に作られ、フチは太目で無骨
ドカンステム

やっぱり白いパンツは目立つな…と思うも、もう既に着てるハーフパンツだって目立つよね。生成りとはいえほぼ白だし。自意識を適度に失う初老、あるいは横柄さを備える初老。

そんなことを思いながらインスタでスタイルを見てみると、ホントに日本人って白パン似合わねぇなぁ~~~~~~と思い、もうこんなんどんぐりの背比べでしょ、気にする必要ないわ、と謎の合理化を行って安堵する。

また上も深い

これはニコルソンではPYADという型で、定番のようだ。ワイドで直線的なシルエット、コインポケット、 やや短めの丈、バーティカルなフロントポケット、その雰囲気に沿った無骨なパッチのバックポケットが特徴。ロッカーループがワークのムードを助長する。

スタジオニコルソンについては、以前すまし顔のシャツジャケットを手荒に着ていた。ニックさま本人のスタイリングが良い。それとインスタのおじいちゃん、故広信さんがよく着ている印象であった。最近はPOTRとのコラボで即売していたり、まだまだ生き延びそうなブランドである。