今回は2着のシャツについてリフォームを行った。
細部を見ていくとしよう。
1.襟のデザイン


今回は片方をオリジナル襟、ということにした。
結構BREUERの襟型が気に入っていたので。
さて、再現度はどうなっているのだろうか。
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重ねてみるとほとんど同じ。
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丁寧にほどいた後、トレースをしてミシンで縫い付けている。
形は同じである為、襟の開き方などの顔については6割位は再現できるだろう。
あとの要素は生地と縫い付け方だが、これについて再現はほぼ不可能なので見ない。
着ていって馴染んだ時にどうなるか、進捗の確認が必要である。
2.ボタン、縫製


サイトの説明にあるように、ボタンは全て手縫いでつけている。
なので、根巻もしっかりされている。
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参考までに、同じシャツの他のボタン。
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一目瞭然である。
最近では鳥足留めも機械で留められるので、
鳥足留めだからといって手縫いとは限らない。
まあ更に言えば根巻の機械もあるので根巻しているから手縫いとは限らないが・・・。
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上の写真は機械での鳥足留めの裏。
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こちらが今回の梅屋ドレス謹製。
綺麗。
更にちゃんと鳥足留めを再現してくれている。
ただこの画像の台襟のように、ミシンのラインがやや不安定な所もあるにはある。
また、ステッチは7ステッチ/1cmで、orianやら高級シャツのエイトステッチに慣れていると少し物足りないかもしれない。
驚いたのはボタンダウンの所など、全てが根巻されていたこと。
こういうことを手を抜かずにやってくれるのは嬉しい。
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3.生地


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高番手のものにしたのでとても肌触りが良い。
仕上がって届けられた時、糊付けされていたらどうしようとか思っていたが、
そこはもちろん老舗。
いらぬ心配であった。
フレッシュな生地のふんわりとした感じをまとって帰ってきたので、
大変に気持ちよかった。
以上。
何にせよその丁寧な対応とコストパフォーマンスは素晴らしい。
最初は慈善事業か趣味でやってるのではないかと思ったほどである。
「衿・カフスが擦り切れたくらいが、生地が柔らかくなって、最も着心地がいい状態である」
と梅屋ドレスが掲げるように、そのくらいの状態が、最もふんわりと風になびく気がする。
「愛着」は消耗品たるシャツにはなじみが薄い言葉かもしれないが、
昔は着脱式の襟を交換して長くシャツを着ていた。
クレリックシャツは若く見える傾向があるので、よく馴染んだシャツをクレリックシャツにし、
お互い若返ってみる、という付き合い方もあっていいのではないだろうか。