えと、誰?

また黒いシャツ

全然知らないのである。貰い物だ。

私は買い物をする時、異常なまでに調べる。調べまくって比較検討して、ようやっと買い物に行く。そういう理論武装しまくった重装備ファオタ、店員から「〇〇っていうブランドで…〇〇なんです」と声かけされると何気なく「前シーズンの同モデルの生地違いですよね?変わってるのはカフの釦数とその間隔だけですか?テールの形状もラウンドになってませんか?(早口」とファンネルを展開してダンスっちまう。当然煙たがられるので、距離を置かれる。

今回は全く知らないブランドをもらった。全く知らないブランド自体が珍しい。せっかくなので1ミリも調べないで、計測もしないで、偏見と勘と妄想で書いていく。

襟はまあ、小襟気味…?

短丈、細身、小襟、比翼、黒シャツ。これだけでやはり思春期にエディオールオムに喉から手を伸ばし続けた人間としては、すわ厨二か、と言いたくなる。少なくともこのデザイナーらしき人の名前、「ユーヤタカテ」。ユーヤって名前、おっさんではなくない?30代とかじゃない?この名前と、ディオールオムを通ってそうな感じ、シグネチャーでそのまま自分の名前を使う所とか、年寄りでもジュヴナイルでも無さそうだ。ヨウジに?影響とか?受けてるんじゃない?

あらヤダ…この方、お袖におイセがお入りになられてない?幽かなおシワがおほとのごもられてない?あ?縫製不良?バカヤロー日本製なめんな、イタリア人の適当な始末と違ってこちとら微妙にシワとか検品でハジくんだよ。通してんだから仕様。仕様なの。というわけで生半可なデザイナーでは無さそう。

見える?見えるでしょ?鳥足留め。カンヌキ。それに大丸カフ。当然だけど、釦は全部根巻されてる。そう、こいつはある程度イタシャツのディティールを知っている人間。わかってる奴だ。いいぞ。

これはオタクっぽさもちょっと感じられる気がする。うーん、ブランド立ち上げた時点で大分リスクを取ってる気がするが、割と細かくこだわるタイプかな。Excelで家計簿つけてるとか、実はエンジニアやってましたとか。そういうのかな。

ッァァアア゛ア゛ア゛ア゛!!!

あーダメだ。いっきに人物像ブレた。いきなり裏切りだよ。意図を知りたいよ、糸だけに。なに?KAWS??違うよね?位置的に、絶対、わかってる、よね?これはもうギャグでしょ、真面目にやってるならどういうインスパイアだよ。ヨークもイセ入ってるし、なんなん。全部盛りかよ。さっきまで割と士業みたいなイメージのデザイナーがチラついてたのに、なんか「良いものは良いと素直に言える世の中にしたい」みたいな眩しい一面が見えてきたわ。ボーカルだよボーカル。絶対ベースとかギターじゃない。

比翼なんだけど、空いている口は釦側ではなく逆。だから左の前身頃がボタンホールまで行って、そのあと折り返してる感じ。このデザインは好感を持てた。いやーやっぱ士業か?大学院出てるとか?

ちなみにここまで見てきてわかるかもだけど、縫製は良い。どんなにバキバキに昂っていてもストイックに前戯に時間をかけるタイプだな。

ご覧の通り、袖付け縫製幅も悪くないし、後付けで袖を前に振っている。やっぱりユーヤタカテ、知ってるな。これはもう間違いない、シャツをよくわかっているはず。

黒シャツを作ってるくらいなんだから、ミニマリスト志向かヨウジフォロワーか。あるいはバンドマンか。何者なんだろう。この記事をリリースした後に答えを確認したいと思う。

そういえばこれを譲ってくれた奴もバンドマンで、しかも潔癖症だから細かい。ギターでボーカルもやってるから眩しいのは間違いない。あ、でも逆張り野郎だからマイナーなもんばっかり買ってる。変態だ。ありがとう変態。