ノリとしてはB面である。ギャルソンシャツフォーエバーが良いことは既に書いた通りなのだが、オーバースペックで異なる層にアプローチしている事はあまり知られていないので実物を元にそれを書く。
子供用の服がうちにはたくさんある。というのも妻が輸入子供服沼に半身を突っ込んでしまったゆえである。一時期はビンテージをdigっており、私は「損耗激しい子供服にビンテージなんてあるわけがない」と侮っていた自らの想像力が矮小である事を思い知った。当時は週に数回、全世界から国際便で服が届く状況で、かといってLVMHグループやKERINGらへんの有名な大手メゾンブランドの服は無く、コアなブランドばかりだったのもまた恐ろしかった。
深夜、子供が寝静まった発売開始目前に「ローンチだ…ローンチ…」と、銃口を向けるがごとく血走った目でスマホを睨みつけ、複数ウィンドウで発売開始前にうろうろと待機していた妻を思い出す。
したがって私は子供にシャツを買うかを迷った。子供は動きが激しいし、タイトな質感を好まない。しかもこんなにクローゼットにあまねく世界の服がある中で、子供がわざわざストレスフルなシャツを選ぶことは無いのでは。それに高い。こんな高い子供服に意味があるのか。
世の中はどうなのか。子供用の服にかけるお金、59%の方々が3000円以下、26%の人が3000~5000円。そりゃそうだろう。だがこんな統計は意味がない。だって親が異常。ポエルやANSNAMを買った人間が正常とは言えない。正常はもうおしまい。正常はもう行き止まり。Misha & PuffのニットもBONPOINTのエンブロイダリーワンピースも異常値。
そんな家庭に送られてきた足長おじさんからのプレゼント。それがこれだ。
トムフォードのレザーケースみたいなのに入って送られきたので、開封時に恐怖しかなかった。ラグジュアリーブランドの女児用パンツを送り付けてくるパターンだったらどうしようと思ったけど、さすがにそこまでヤバい奴ではなかった。
開けてみればそこにいたのは触り慣れたシャツ生地、ギャルソンシャツフォーエバー。子供用があったとは。
子供服なのにボタンを根巻きしているギャルソンシャツの志を目にした時、畏敬の念に打たれてしまった。誰得。
jacadiもAmaiaもイザベルマランも根巻してないんだよ。BONPOINTに至ってはインドネシアの刺繍ものの個体とか、釦の根巻くらいすぐに出来そうなのにやってない。そう、意味がないからね。私がここでやたら見てるボタンの足元など何の足しにもならないのだ。
様々に見ていると、大人用のギャルソンシャツフォーエバーと大して変わらない事がわかる。生産ラインも同じなのではないだろうか。フランスの職人の方々が小さい子供服を縫ってるのを想像すると微笑ましい一方、こんな末端価格の子供服であることを買うユーザーについて彼らはどう思うのだろう。
実はこのシャツ、まだ試着しかしてくれていない。しかも2歳のある日に偶然である。親が選んだ子供服を自在に着てくれるのは2歳まで。3歳、既に過激な色や装飾、キャラを好むお年頃となっており、我が家には着用されない高級子供服の山が生えている。4歳になるまでに果たしてこのシャツを着てくれるのだろうか。
bengal
宮原さま
良い歌ですよね。
宮原慶太
途中、印象的な歌詞の一節が使われていて笑ってしまいました。