性格上、持ち上げたりとかそういうのはできないので本音で書くことが多い。だから問題になったりするんだけど、今回もそうしようと思っている。私は南シャツのシャツが好きなのであるものの、特に自然派でもないので南氏のブランド「m.inami」についてなにか言える立場ではない。よくわからないから。わからないが、まあなんかいい感じだったら良いか。

m.inamiの定番シャツ

百貨店は高島屋の、やや現代的なスタイルを提供するオーダースーツの売り場、スタイルオーダーサロンという僻地にてだけ展開されるm.inamiのオーダーシャツ。なんでそんなとこで…?と思ったのだが、m.inamiの展開はなぜそんなことを…?と思う展開が多いので、まあ自然に任せているのだと思う。それで食っていくの大変よ。

タイドアップもできるオープンカラー
今風のパターンなのだろう、割と肩傾斜は強めでリラックスした洒脱な雰囲気がある。透け感とともに涼しげな雰囲気
中丸。カフは正直可もなく不可もない。今回取り上げることがない

価格は昨年時点で25千円と税。出来上がりは早かったように思う。パターンオーダーではあるのだが、割と選べる要素が多い。オーダーしている途中で「なんか選べる項目多いな…?」と思った記憶がある。デザインでは片方ごとのポケット有無、裏前、前立てなどが選べた。着丈も袖丈も変えられるし、身幅も4cmピッチであるものの変えられる。袖丈の左右差も選べた気がする。MTMではないのは体型補正がないからとかなのだろうけど、確かパターンオーダーにして生産ラインやオーダー管理をしやすくする、とか言ってたけど…。

シャツのフラップポケットの形は雰囲気を決める重要な要素となる。このアールが優しい雰囲気を持っているので、生地の印象とあいまってたおやかな印象
タイドアップできる汎用性が高い襟型。開けても閉じても割と綺麗だったので、そこはやはり南シャツでの探求が活かされているのだろう

福島コットンブレンドを横糸に再生ポリエステルにキュプラを巻いた繊維。綿62%、キュプラ24%、ポリエステル14%。この3者混生地、定番になるのも頷ける。良い肌触りでありながら、化繊由来の性質でまとわりつかない。つかず離れずの距離感。

前振りまではしていないものの、始末が綺麗で、優秀な工場だと思う
クタッとした雰囲気もあるけど、しゃんともしている

まあでもこのご時世で、良質なパターンで、面白い素材も選べて(もちろん定番の白無地もあるのでビジネス需要もカバーできる)、必要十分なサイズ調整もできるオーダーシャツで3万円を越えないのは中々である。また利益のなさそうなビジネスモデルなので、大丈夫なんか、と余計な心配を抱く。こういうのがある一方でカシミヤポプリンのビスポークシャツで30万とかいう受注が入ってると、事業として幅広すぎて管理が大変そうな気もする。南氏はいったいどこまで自然に任せて手を広げるのだろうか。