目黒のパターンオーダーシューズ屋、ブロセントの靴。

パターンオーダーの靴というと、パッと思いつくのはあまりないかもしれない。最近日本橋三越へ出たJOE WORKS、割とtwitterで有名なRENDO、金沢の良心KOKONなど。

その中ではBROSENTは独特な位置にある。その安さもあるが「手染め」や「マイナス式のオーダー」など、独特な点が面白い。

今回のモデルはダイヤモンドチップのRiley。価格は7-8万程度で、安心の日本の工房、セントラル靴製。色は手染めで自由な指定が出来るが、今回はダークブラウンで指定した。

 

オーダーは特殊で、デフォルトではオプションを含めて店の推奨のもので設定されている。例えばアッパーはアノネイのボカルー、ソールはレンデンバッハ、靴箱ありなど。それで7-8万なのだが、結構贅沢なオプションが盛られているので、価格が安くなることの方が多いのかもしれない。靴箱は多くの人が外すので5千円位安くなる。

 

履き心地は良い。ウエストをやや絞り、ヒールを小さめにした日本人の足型に寄せた形。踵は後ろから見るとちゃんと球状になっており、支えが効いているのがわかる。甲も問題ない。まあ乗せ甲や幅補正が効くので当然ではあるが。

 

また、店頭でアツく語られたが芯材が踏まずの位置まで入っているのが特徴らしい。そこまで芯が回り込んでこないとアーチを支える構造が崩れてしまう、との事。あまり意識したことは無かった。

 

ソール。良いじゃん、と思った点が二つあって、一つはやや浅いがフィドルバックで作られている事。もう一つはオプションの柔らかいソール。通常だとレンデンバッハなのだが、「イタリアンスーパーソフト」というオプション(レンデンバッハより安くなる)にすると、出来上がった当初から屈曲性がとても高い。これが割と楽。

 

ヒールはデフォルトでキューバンヒール(ピッチドヒール)になる。靴に詳しい人間に進められてコンチネンタルのヒールにした。

 

さて、ダイヤモンドキャップ。要はコレ、プアマンズガジアーノでしょ、と思ってしまう人もいるのでは。RENDOのGB001がプアマンズゴルフだ、という話と同じ。あっちもセントラル靴だったし(今は知らない)。までもゴルフと比べてガジアーノのダイヤモンドキャップはメジャーではないのでOKとしてしまった。元々は古いビスポークシューズで見て良いなぁと思っていたわけだし。

オーダー当初は「なんか悪目立ちしない?」と思っていたこのダイヤモンドキャップ、履いてみると割と目立たない事に気付いた。デザイン的に斜めから見るとこの菱形があまり強調されないのだ。割と変わったパンチド位の構えで何ら問題ない。よく考えたらウイングチップの方が目立つわけだし。単にガジアーノのあの革、あのエグい木型と造形に乗ると目立つだけなんだろう。

セントラル靴と言えば三陽山長。RENDOの吉見さんの古巣。JOE WORKSの母体。親父の履いているトレポスのオリジナルもセントラル靴製だった気がする。割と良い評判の靴ばかり作っているイメージだ。

 

BROSENTは割とイロモノばかりWEB上に出てくる上に「手染め」を標榜しているので、ちゃんとした作りである事が見過ごされがちな気もする。地味な色を指定しても充分そのコストパフォーマンスを感じる事が出来る、良い靴屋だと思う。