去年、最も「いい買い物したな」と思わされた物。

家具は、制約・・・というか条件がいくつかある。

・家族や生活の詳細

・家、生活空間の広さ

・既存の家具や建具の要素とのバランス

間もなく新しい住居に越す、新居ではモルタル床的な内装であり、園児がおりリビングが広め、Yチェアは維持となった条件での選択となる。

HAYの価格帯は微妙で、「リーズナブルなブランド」というイメージで入ってきたような記憶がある。けど凄く安いというものでもない。カリモクと同じくらいだろうか。

このテーブルも値段は17万。一枚板とかだと20万~40万まで平気で飛んでいくが、そういうレベルでもない。服のブランドでいくとAcne studios。いや知名度的にはAMIなのか。でもホラ北欧だし。

プライウッド。ホワイトバーチだろうか?合板ってことしかわからん
エッジがなめらかに削られている。普段見ないが地層みたいで気に入ってる

前が目地があるゴミみたいなテーブルだったので、目地がないテーブルのなんと良いことか。しかもリノリウムのサラサラとした天板。リノリウムっていうと床しか私が思い出せない。大概の人は、小説上の「リノリウムが踏み鳴らされる音」的な扱いで初めての出会いになると思う。大衆ミステリとか。

このグレー、光にあまり左右されないので、東洋的でも西洋的でもない。いわゆる美からは少し距離を置いた所にある色に思える。その色で満たされるテーブルなんて実用的でいいデザインだと思わないだろうか。

インスタグラマーがやりそうなあれ

アールもとってあり、素材的にサッと汚れが拭けるし防汚性も高い。子育てにも最適らしい。

というのもリノリウムは天然素材で抗菌・抗ウイルス、しかも経年変化するとかなんとか。わびさびやん。木の粉を固めてるらしいので、確かに適度な柔らかみもあるため見た目程の冷徹さは感じない。でもちゃんと塩ビっぽくはない、求める「冷ややかさ」は感じる。

いきなりシャツの話持ち出してなんだけど、天然貝釦って冷たくて、それが気持ちいいんだよね。リネンみたいな。冬の外気に触れたジッパーの冷たさ、つまりコンクリートレベルまでの接触冷感はない。ポリのボタンの不快さは、表面のテクスチャがのっぺらぼうである事に加えて、ゼロに近い熱伝導性。それがあの死んでる感じにつながるのだと思う。

大理石もそうだけど、なんか少しヒヤッとするファブリックの方が好ましい。冷たすぎるといけないが、新居の床材もその曖昧な基準の範囲で決めている。

Yチェアがテーブルにどれだけ収まるかって結構知りたい情報だと思う
家具はつい陰翳を礼賛してしまうがこのグレー、さすが食えないヤツだ

シンプル。Yチェアとの相性も悪くない。Yチェアと合わせる大抵の人はクリアラッカー(木目)にするんだろうか。

Yチェアと合わせて思ったのは、Yチェアのひじ掛けに腕を載せ、拳をテーブルに乗せようとすると少し距離を感じること。そりゃそうだ。前は四角いテーブルだったので、ひじ掛けからテーブルまでの距離が近かった。まあでもこれが必ずしもデメリットになるわけではない。円卓の良い所でもあるのだが、椅子をあまり動かさずに斜めに出て立ち上がる事ができる。流線形の家具は動的な生活空間を提供する、バウハウスのデザイナーだかの本で読んだがこういう事かと思った。

向きが悪いと足と接触しがちになるが、太くて安定性がある事もあり、ぶつかったりしても揺れなどもしない。また慣れると大して気にならなくなる。

それにしても良い買い物だった。当初はフリッツハンセンの楕円とか良いなと思ったんだけど、足が気持ち悪くて無理。またartekを置くほどデザインマインドが高い家にするつもりは無いし。職人紹介してもらえるしオーダーで一枚板で作るか…でも経年で反りとか面倒だっていうし他の建具と絶対合わないな…。とか放置してたら妻が見つけてきた最適解だった。

新居に向けて必要となるものが山のように出てきている。今年は服なんか買っている場合ではないのだ。繰り返す。今年は服なんか買っている場合ではない。だから、買う訳ない。そんな事に割く資源は本当に無いのだから。無いって。マジで。おいやめろ。