ジャンネット。
 
 
工場多きプーリア州のアンドリア市のシャツ屋。
プーリア州のシャツ屋はイングレーゼを思い浮かべる。が、そこまで田舎臭くなく、むしろワンポイントの刺繍然り少しイキっていて北イタリア寄りの雰囲気だ。
 
サンフォート(sanfort)というシャツブランドを見たことがあるだろうか?一時期BEAMSのドレスシャツの棚にひっそりといたのだが、そこが母体のカミチェリアである。
ジャンネットは、第二・第三釦の間にある太陽マークでもわかるようにカジュアルライン。
 
一部ショップでは「ハンドメイドで作っているので…」と謳われる。よくイタリア人が言う「マシンメイドであるがそれを動かすのは人の手、つまりハンドメイドだ」ということだろうか。
「ハンドメイドの工程を駆使」という風に上手(?)に書いているところもある。さすがに伊勢丹は「マシンメイド」としっかり書いている。伊勢丹は以前Husbandsのタグの”Handmade”とあるのにもわざわざ自社タグで「一部の工程が手縫いであることの説明です」と付けていた。一つずつ。何度も公取委に刺されている大手はやはり注意深い。BEAMSやアローズもGTAで公取委にやられているので、ハンドやらマシンやらという記述には触れないのだろうか。賢明だ。
 
 
中厚のオックスフォードでベージュ。ベージュのオックスフォードシャツを探していたので渡りに船と気軽にセール品を買った。
WASHING DIVISIONという洗い加工のもので、フィットはスリムフィット。ジャンネットのスリムはダーツが無く、「ヴィンチフィット」というパターンがダーツ有でタックアウトできるモデル。夏になるとセレクトショップにずらっと並ぶため、ジャンネットと言えばそのモデルだと思っている。
 
 
BEAMSの中村さんが良く推している。マシンメイドで悪くないけど加工上手で2万円台、となると利益率が良いのだろうか。
良いシャツの見分け方は台襟の先が持ち上がっている事です、とジャンネットのシャツを見本に言っていた。ジャンネットはパターンや要所が良く出来ている、ということだろう。
 
釦は鳥足留め(でも根巻きはしていない)だったり、袖は前振りセットインスリーブ、剣ボロの処理も綺麗で、そういう所も抜かりない。もちろん襟型も悪くない。
 
ウォッシングディヴィジョンというラインといい、マシンメイドでタイトな所といい、売れるにしたがってどんどん値上げしていったORIANを思い出さざるを得ない。最近見かけなくなった。
 
 
でも、こんなことはORIANはしなかった。
 
これが問題の太陽マーク。第二釦を外すと見える仕様。ジャンネットはこの太陽がトレードマークで、第二釦を空けるとこれがチラ見えする。
雑誌とかWEBとかでそんな着こなしを見たおっさんが第二釦まで開けるっていうことなんだろうか。あくまでもモロ見えではなく、折れ曲がった角からわずかに黄色いマークが見える。チラ見え。それがキモ(ダブルミーニング)。
 
というか今調べて思ったんだけどvinci fitのヴィンチって「勝利する」って意味なのか?なんだよ「勝利フィット」って。チラ見せ仕様の太陽といいこのネーミングといい、自意識に悩む人間には少々ハードルが高い。チラチラ見せてくるなぁ、なんだよと思ったら普段隠れている俺の太陽だぜ、っていう事でしょう。その発想なんだよ、北風に情緒を感じる負け組のオタクにはキツすぎる。あ、そうか、それで勝者のフィットということか。そういえば銀座の住商の人が着てたし商社のフィットの婉曲表現なんだろうか。
コリドー通りで勝利のフィッティングを味わってみないかいっていうナンパするためのシャツだとでも認識しておこう。