東の辺境、冴えた靴。
浅草は靴屋が多い。明治時代に靴職人の養成所があった名残らしい。鞣しには水が必要なので、隅田川に近い浅草が適していたのかもしれない。今回のSANTARIも浅草、しかも最近立ち上がったブランドだ。
JOE WORKSという靴屋を知っている人も多いだろう。彼らは2014年、セントラルから独立したグッドイヤーに特化した職人たちのブランドである。2013年創業のRENDOは以前紹介した。吉見さんもセントラルに居たキャリアがある。
SANTARIは2015年に立ち上げられた靴屋。舘 篤史氏という職人のブランドである。舘氏の人生はドラマ1本分の波乱万丈っぷりなので、興味のある方はフォルツァでも読んで欲しい。
https://forzastyle.com/articles/-/60579
2アイレットのスエードチャッカブーツ。
革はFステッドのジャヌスカーフのダークブラウン。シームレスヒールでブーツ、それもスエードでやってみたかった。
ディティール変更は木シャンク。金属じゃないものを選べるというのは珍しい。昔は高級な手製靴はウッドシャンクや、みたいな風潮が(某掲示板で)あったが今はそんなこと無さそう。だが、お客さんの木シャンク指定が多いらしく、一部ラストは標準仕様で提供されている。MTOで一人ひとりのアーチサポートを適したものにする手段としても活用しているらしい。
これはハンドソーンの靴である。
ハンドソーン?構造の説明は無しだ、ググってくれ。JOHN LOBBやEdward GreenやJ.M. Westonを履いている方は、Enzo BonafeやらSaint Crispin’sは履いたことがあるだろうか。ない?VASSはどう?知らない?じゃあ履いてみてくれ。軽いって?軽いんだよ。履き込んだ感じだって?そうだよ底が沈みにくいから最初から履きやすいんだよ。え?だからグッドイヤーのが丈夫だろって?そんなに同じ靴を履くことがあるか?「お前は今までに履き潰した靴の数を覚えているのか」ってイギリスの吸血鬼がいってなかったか?
ハンドソーンで木シャンクだからなのか、ブーツなのに履き心地はかなり軽い。トゥはラウンドトゥの05ラスト。セミスクエアに寄せてほしいという要望を伝えたら、コバで調整してくれ、写真でもわかるようにややセミスクエアめいた仕上げにしてくれた。ありがたい。
この05ラストは後発で、少し変わったラストだが個人的には気に入っている。甲がかなり低く、ビッチリとフィットする。ローファーは合わなかったがチャッカブーツはドンズバだった。
フィットが良かったので、3アイレットがデフォルトだったものを2アイレットにしても問題なかった。なので減らした。数年間使い続け気に入っていたジャランのチャッカが2アイレットだった事が大きい。舘氏は製作途中で写真付きでアイレットの位置を確認してくれ、丁寧な人だなと感じた。
履き続けてそろそろ1年になるが、ブーツとは思えない軽さ・フィット感、流れるような形など、満足度が高い。ハンドソーンなので流石に10万は越えるが、それにしても10万そこそこでここまでのものを作れる所は中々無いと思う。デザイン方針が異なるが、ハンドソーンで同じ価格帯だとFloriwonneくらいになるのだろうか。大阪はもっとあるのかもしれないが。
舘さん、チゼルトゥのラスト、またはデザインが出るのを強く強く心待ちにしています。
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