ストック2.TOMORROWLAND トゥモローランドのジャケット
最初に言っておく、私はトゥモローランドびいきである。
トゥモローランドのオリジナルのAW用テーラードジャケット。9年目。
トゥモローランドは1978年創業の洋服のセレクトショップである。アローズの1200億やビームスの700億には及ばないが、国内100店舗以上、売上高400億円以上の会社で、ここまで売上を着実に伸ばしてきた。2014年までカリスマ、佐々木啓之氏が社長として率いていたが現在はそのご子息が社長となっている。
トゥモローランドは他のセレクトショップと出自が違う。段ボール屋だったビームス、そのビームスから独立したユナイテッドアローズ、上野の洋品店だったシップス。彼らと違い、竹の子族が流行りだした創業当初、トゥモローランドはメーカーだった。
ニットメーカーだったトゥモローランドは、PBのニットのレベルが高いと言われている。しかしニットにとどまらず、いずれの自社製品もレベルが高いと個人的には感じる。マイナーなセレクトショップを除けば、使用されている生地、縫製は右に出るものがいないのではないか。(ただパターンが自分にあっているため加点しているのかもしれないが)
Less is moreに近いビジョンや、シンプルを是とする会社自体の考え方、謙虚にオリジナリティを選好しトレンドには慎重なスタンスなど、個人的にとても好感が持てる。
生地はLanificio T.G.di.Fabio。ラニフィシオ・ファビオ。
新進気鋭のビエラの生地屋なんですよ、と説明を受けた。
コットン45%とウール45%にカシミヤが10%の混紡となっている。
相当な環境にさらされているのだが、生地はまだ生きている。それどころか少しクタりが加わって、陰影がやや有機的になり馴染みが良くなった気がする。
遠目にはダークネイビーにしか見えないのに、近くで見るとマイクロチェックのような複雑な模様になっていて、色も黒に見えたり紺に見えたりする。
カシミヤが入っていることで僅かに光沢があり、コットン混紡によりツイードのようなネップ感がある。微細な違いがある生地になっている。
もちろんこれも洗濯機に突っ込んで洗う。イタリアっぽい仕立ての中にしっかりした芯が入っているのが特徴だが、芯がしっかりしているのだったら粗っぽく使って大丈夫だろう、と思って洗っていた。
そんなことをしているので9年目にして肘に穴が空いた。
そこでエルボーパッチを付けた。
私はエルボーパッチが付いている服が好きではないので、自分がこういう服を着ることになるとは思わなかった。加齢のせいなのか、この服への思い入れが強いのか。
依頼したのは皮肉にもベイクルーズグループの直し屋。3,000円。しくじったのは革。持ち込んだスエードの大きさが足りず、店側で用意したウォッシャブルレザーになった。洗ってからどうなるかだが、結果次第では再度の付け替えも辞さない。
最後に、トゥモローランドはセレクトショップの中で比較的信頼性が高いと考えている。
コートのタグには「特性として5年くらいしかもちません」とリアルな事が書いてあったりするし、店員に「この服どれくらいもつ?」と聞いても「週2回着用で実際3年とかでしょう」と適切な意見をくれ、「一生ものです」など言わない。店員なので個体差はあるが。そういう実直さはありがたい限りである。店員に聞いたが、誰も彼もモノづくりに対して持つこだわりが真面目な方向なので、そういう対応になるのかもしれない、と言っていた。
何にせよ、いつも良いジャケットを、良い洋服を作ってくれてありがとう、と伝えたい。社長が変わってから数年なのはどうなるのかわからないが、これからも”Small is possible”で、真面目であるを望んでいる。
bengal
義隆様
重衣料、特に冬物であれば、丁寧に扱えば10年は耐えてくれると思いますよ。
トゥモローランドは大手セレクトショップの中ではイチオシです。
良い店員さんに恵まれることを祈っています。
義隆
はじめまして。
8年間ジャケットをもたせるって凄いですね。
トゥモローランドは一度も行ったことが無いですが、タグに耐用年数の記載があるのが新鮮で興味を持ちました。
また、店員さんのコメントも具体的でとても良いですね。
明日、丸の内の店舗に行ってみようかと思います。