シャツ屋とボタンの手縫い根巻の機能性について話をしたことで、
思い出したシャツがあるので引っ張り出してきた。
銀座の三越伊勢丹が出来たときさらっと見た中で「ん?知らんな」と思ったブランド。
それが89年創立のカミチェリア、エマニュエル・バーグである。
新参シャツを見かけた時の感覚では、
サルバトーレ・ピッコロを見つけた時のようなうわーすげえ、という恐れや、
エリッコ・フォルミコラを初めて見た時のようなうまいな、という納得があるが、
このブランドはどちらかといえば後者に近い。
生産国がポーランド、というのが最も関心を惹いたが、
1万後半という高級シャツの価格帯の割に袖は別に前振りじゃなかったり、
一方でボタンは白蝶貝・しかも全て根巻という謎のバランスで、
ナポリ野郎に飽きていた自分は軽やかにレジカウンターへ送球した。
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シンプルなカルゼのセミワイド。
葬式でしか使っておらず、最近は出番が無い。
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襟芯の柔らかさがどうのというセールストークだったが、
ボレッリとかを普段から着ていた為か、別段良いということは無かった。
前振りじゃないのは残念だが、縫い幅は狭く、運針も1cmあたり8針と真面目。
(公式では9針とあったのでひょっとして自分の数え方が違うのか?)
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ガゼットはちゃんとそれらしく付いており、付加価値は感じられそう。
ボタンはスペアでさえ鳥足留だった。
そして天下のトマスメイソンですよ、ええ。
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総評としては価格がやや高いと思うが、
ボタンや生地・縫製については中途半端なナポリ物より良い。
一方で袖は前振りでも手縫いでもないし、スプリットヨーク等もない。
ブリティッシュだけど襟でイタリア的な色気も取り入れたバランスのとれた堅実なシャツ、
といったイメージだろうか。
うーん、リオビアンコとかヒトヨシ生産のシャツでいいかなと思っちゃう私がいる。