冬。
2013冬。
どうしても見たいアーティストがいて、12月に都立大学まで行ってきた。
公園で遊ぶ家族とかを横目に、目黒区ってハイソだなぁ。
とか思いながら、独りパーシモンホールへ。
当日券の列は未整理で、並んだのは私含めて全員1人で見にきた男性。
開場間もなくそそくさと席へ。
①平井真美子
クラシック出身。
とてもピアニストらしい曲で、久々に実家のピアノを思い出した。
とにかく弾き始めがカッコ良くて引き込まれる。
あの間の取り方はなんなんだろう。弾く前に指先からピアノに何かが流し込まれたのを確認して、ふっ、と弾き始める。
あれを毎日やってるんだとしたら凄い。
②中島ノブユキ
遠目に見ていたので、リリー・フランキー的なイメージを勝手に持っている。
白シャツ着てたし。
1曲目、プレリュードっぽい、広がる感じのいい曲だなーと思ってたらどうもインプロだったらしい。
その後もインプロっぽいアプローチが多く、それでいてジャジーだったり。
今回の中で、一番大人っぽいしっとりしたピアノだった。これはこれで好き。
③Nils Frahm
観にきた目的その1。
冬だしwintermuzikのAmbre聴けるかなと思って来たのだが、見事に裏切られた。
いい意味で。
1曲目に突っ込んできたのは、ニューアルバムからSays。

この動画の7:40くらいから鍵盤をたたいているが、
これをグランドピアノで2拍3連で凄い勢いで叩くものだから、
鳥肌どころか体が震えた。
シビれた。
Moreもすさまじかった。
ピアノに疾走感をたたきつけるような。
Ambreは聴けなかったが、
個人的には今年1番のライブで、座っているのが辛いくらいだった。
④高木正勝
観にきた目的その2。
ニルスが激情系だったので、ピアノでしっとり来たらいいなと思っていた。
何せ、この人の作るピアノ曲のメロディーセンスはズバ抜けていい。
何度も泣かされている。
キース・ジャレットより泣かされている。
スクリーンに映像つきで、1曲目~3曲目?まではドラマティックに展開した。
この人、歌うようになったのか!と思った。
Journal for peopleやCOIEDAの頃のイメージが強く、Private/Publicのあたりまでの印象が強かったもので。
途中、胎児の映像の後、胎内に戻るかのような映像が無音で続き、完全暗転しての子守歌のような唄とピアノ。
結局泣かされた。
primoを思い出したけど、この人の子供心に強く通じるこのセンス、唯一無二だなぁ。
竹村延和と並んで子供の心を持っていると思う。
ただ、この後は煮え切らない展開だった。
本人も「山の方に引っ越してから、古い曲が馴染まないんすよね~」
みたいなことを言っていて、ちょっと調子が悪いのかな?と思った。
girlsやone by oneなども演っていたが、
どれもがちゃがちゃしていて、はちきれそうな勢いが濃縮されて暴走していたように見えた。
何かに緊張していたのだろうか?
最後まで本人も納得いかなかったのだろう、「もう1曲やらして!」とグイグイ終演がのびる。
なんだか窮屈そうな印象で、こっちも胸が詰まった。
むしろ逆にピアノを壊してたらこっちもヨッシャーとなったかもしれない。
でも途中、奥さんの誕生日の為に作った曲は暖かかった。
「かわいらしい曲です」と言っていたけど、本当にかわいらしくて。
平和に暮らしていたら自然にできた童謡のようで。
高木正勝ってナチュラルに童心な人なんだなと思った。
16:30から21:00までという長丁場だったが、素晴らしい体験だった。
帰りは八雲もちを買ってジャーナルフォーピープル聴きながら帰った。