シャツNo.131 MINAMI SHIRTS 南シャツ 前篇

あけましておめでとうございます。
MINAMI SHIRTSにいってきた。
場所は千葉県の江戸川台。

GoogleMap上では路線沿いにあることがわかる。
駅から向かっていくと、不安がよぎるくらい閑静な住宅地。
板橋はよもだシャツを思い出す。
あんなにシャビーでポエティックな佇まいではないけど。

表札で安心する。
イタリアのカミチェリアもこんな感じの「ここかよ」という民家なのだろうなと思った。
南祐太さんのご自宅。

こじんまりとした店内。
シャツの仕立て工場が後ろにあり、他に外注となるがバッグやスーツもオーダーできる。
バッグはシセイに飽きた人のための（勝手に思ってる）、チェレリーニ。

襟型は一般的にそろっている。
ロールカラーみたいなものもあるし、今後も増えてくるのだろう。
南さんの説明ではブリティッシュでタイドアップ前提、イタリアンでノータイも可、という大きく分ける案内をしてくれた。
某百貨店みたいに、いきなり個別の説明にいかなかったので助かる。

大丸とかを選ぼうかと思っていたけど、ターンナップカフが思いのほか綺麗だった。
ターンブルアッサーは3つボタンで購入したので、じゃあビスポークだしちょうどいいか、と選んだ。
言っておくがダニエルクレイグだろうがピアースブロスナンだろうがショーンコネリーだろうが別に興味はない。

南さんは「ハウススタイルというのは特に無いので、ニーズに幅広く柔軟に対応できる」とおっしゃっていた。
リッドテーラーで同じことを聞いたような。
ハウススタイルがないという標榜は、顧客の間口を広げるのには適している。
ただ、一方で難しい問題もある。
スタイルがあると、顧客が面倒な提案を持ってきたときに
「そんなもん知らない、ウチにはウチが自信を持って進める良さがある」と対応できる。
「無地のスーツはスーツとは言いません。ストライプの方が絶対に正しいです」とか、
「うちは絶対にパッドを入れません。ナンセンス、そんな仕事はやってない」とか。
来たボールを正確に理解しないといけないから、研究と深耕が必要になる。
それに、ハウススタイルでの組織顧客化ができないのでは。
SEだってそれぞれ特化した業界があるからRFPの解読に差異が現れるわけだし。
ううむ、このあたりはまた他のテーラーでも聞きたい。

生地は目移りするほど多い。
南さんもいくつか珍しいバンチブックを持っている自負もあるようだ。
私が思うここの強みは「値段」である。
最低価格17,000円からで仕立てられるこのレベルのシャツはそうないだろう。
というか、いいのか？と思った。
仮縫いはないが（いらない）、POのシャツとは比べ物にならない。
某百貨店のセールを使いたおして「前振りにしろ、カフを手縫いでつけろ」とか注文つけまくるのもあるが、
襟やカフの選択肢の狭さやセンスのなさは致命的だし、セール時の採寸者はセンスのばらつきがひどく、
仕上がりのブレが著しいのでおすすめしない。
体型のクセを採寸時に丁寧に見抜き、それを型紙にするという流れは採寸者の経験とスキルにとても左右される。
ディティールより大事な点である。
都内ではH TOKYOにたまにいらっしゃるので、チャンスを逃さないようにしたい。

7万円の超超高番手のオックスフォード生地などもある。
スーパーリーバが5万を切る価格で仕立てられるということで足を運んだが、あいにく欠品。
しかも残念ながら次回入荷より値上げするらしい。
毎度毎度逃してるけど、もうそういう運命なんだろうか。
それにしても、アルモーの水色はとても繊細な色合いで綺麗である。
ターンナップカフで且つあるオプションをつけたので、白生地にしてしまったが。
うーん・・・デヴィッド・ジョンアンダーソンの200番手2プライがたいへん安かったのが忘れられない。
仕上がりが楽しみである。
どこぞのデザイナーよろしくあがってきたサンプルを見て
「私が求めていたのはこんなんじゃない！」ということはしないので、
南さん、楽しみにゆっくりお待ちしています。