シャツを延命するために必要な7つの習慣

シャツは「消耗品」。そう割り切ってシャツにお金をかけない人は多い。実感では、40~50回がビジネスシャツの一般的な寿命だと思う。私はどうかというと、100回着たシャツもあるくらいだ。なぜそんなに延命できるのか、とメールで聞かれたので、対策を回答したところ、「頭がおかしい、長すぎるからブログにして写真とかいれて読みやすくしてほしい」と苦情をもらったので、ここに書くことにした。

ちなみにスティーブン・R・コビーの本は読破に挫折している

1.クリーニング屋にまかせるな
2.乾燥機を使うな
3.襟・袖の汚れを落とせ
4.洗濯ネットを使え
2.時計をするな
6.太陽にさらすな
7.続けて着るな

1.クリーニング屋にまかせるな

クリーニング屋でのシャツの工程はとてつもなくスパルタだ。

高温洗浄、糊付け、ボディプレス機の高圧プレス。特に高圧プレスが凶悪だが、これらは生地への負荷が強く、3回クリーニングしただけで袖がガビガビになった、という人もいた。糊付けはやめるという選択肢もあるが、プレスからは逃れられない。

ハンドアイロンのオプションにしている、という人もいるが、チェーンのハンドアイロンは、だいたいボディプレス機の後に要所をハンドアイロンしている所もある。だから個店を頼りたいところだが、これだけ豊富にWEBによる集合知がある中、クリーニング屋の集合知は存在しない。たまたま見つけてもだいたい混んでいるか、結構な値段を取られる。個人店を見つけて信頼関係を築くと一番良いのだが、見つけ出すハードルが非常に高い。

個人的にはハッピーケアメンテの「無重力バランス洗浄」が広く行きわたり導入コストが低くなってほしい。素晴らしいだけでなく、美しい技術で、これぞ最適解、と思っている。ただそこまで服のケアに興味ある人はいないだろうし、コストは下がらないと思うので現実性が低い。

ではどうすればいいのか。諦めよう。つまり、クリーニング屋に出すなという事だ。家で洗え。手で洗わなくていいから。そして自分でアイロンをかけろ。伴侶?信頼できるのか?それは自分のツールを扱わせて良いプロなのか?トーシロに自分のシャツを扱わせるな。自分の武器は自分で磨け。

2.乾燥機を使うな

かんたくんをヘビーユースしておいて何様だ、とは言わないでほしい。シャツはかけていない。シャツの生地が縮みきっている保証がなければ、縮む可能性がある。また、接着された芯と表地の縮率差による被害は有名。そもそもシャツに限って言えば脱水は30秒でいい。通常の洗濯機の「自動」だと、脱水はデフォルトで5~10分かかる。取れないシワがつく。シャツのみなら5分も不要。

シワは水分が抜けるときに付くものなので、クシャクシャにして脱水すればそのままシワがつく。だからシャツをハンギングして干す時に、「水分の重みがあった方がシワが伸びる」と言う一族がいる。

軽く脱水した状態で手で生地を張って皺を取ってから、厚みのあるハンガーに吊るして乾燥すれば、ノンアイロンで着ることも出来る。ベンガルストライプならなおごまかせて良し

3.襟・袖の汚れを落とせ

古来、デタッチャブルが主流だった際にこの2つのパーツが交換可能だったのは、汚れやすいから。シャツの中で最も負荷が強く消耗する所。原因たる一つ、皮脂を定期的に取り除きましょう。歯ブラシと洗剤で対処。

最近はワイドハイタープロの粉をふりかけて、ぬるま湯で漬け込み、洗うというのが自分のルーチンである。鍋で煮洗いする人もいるし、ウタマロ一つを毎回こすりつける人もいる。とにかく、洗濯機で洗う前の工程として、それらを取り入れるのが重要。

どうしても面倒くさいなら、そこだけ取り換える前提で生活すればいい。それならそのシャツを作ったシャツ屋や、梅屋ドレスでも交換可能。

4.洗濯ネットを使え

裏返しまではしなくても良い。でも洗濯ネットには入れてくれ。「服好きなら裏返してネットに入れるのは常識」と思っている服オタが散見されるが、ネットに入れないで洗濯する人は未だ多くいる。いつだったか誰かの洗濯機のtweet写真を見た人から「ウッソ!?あの人って洗濯ネット使ってないの!!!??マッジで!?!??」みたいなDMが来たことを覚えてる。

アタリが出たり、ボタンが欠けたりしていいならいい。また、白いシャツを色物と一緒に洗う時、色物の服の細かい毛羽が遠心力で襟羽根の先に入った時に気にしないならいい。私は襟先が妙に黒ずんでる奴は洗濯のマナーがなってない人間だと思っている。見下しているわけではないが、そいつの洗濯風景や洗濯物は生きているうちにできれば目にしたくない。

5.時計をするな

特に金属製の時計で、シャツのカフが時計の位置で止まるようにしているパターン、これが最も痛む。

それを防ぐ方法は、時計をしない事。あるいはゴムや革製のバンドにするのが良い。中にはカフの上に革製バンドで時計を巻く人もいるが、この策はジャンニ・アリエリがやっており、一部で流行った過去もあるため、ちょっと脂っぽくなるリスクがある。やるなとは言わないが、見たら私は心の中で「覚悟してやってる人…ですよね…」くらいには態度が変わる。

6.太陽にさらすな

コットンの白ならそこまで気にしなくていいが、色柄物やシルク・ナイロン混はリスクがある。洗濯物を太陽光にあてる目的は、殺菌と乾燥。その目的に合致し、かつ環境が安定(継続的な日射と低い湿度)が無い限り、コントローラブルな室内での乾燥が良い。あるいは「スパイスカレーのターメリック色素が残ったので紫外線で除去したい」とか、「どうしても紫外線殺菌したい」、とか、服と苦楽を共にしたい故に紫外線に晒したい、などの場合、せめて裏返しにして干すことを薦める。

苦楽を共にしたい上に痛めつけたいタイプなので表で暗色を干す

7.休ませろ

ジャケットや靴は一度着用したら何日か休ませるのが長持ちさせる秘訣、と言われる。これは洗ったりしないからである。

シャツは一度着たら洗う事がほとんど。洗うたびに消耗するのも確かなので、頻度を減らすという事だ。いや、それって着てないから劣化しないってごく普通の話じゃん、と言われる方がいますがその通りです。ここまで書いてきておいてなんだが、シャツは下着、そもそも儚いものなのである。Turnbull & Asserの社長も言っている、たかがシャツである。そんなもの大事にしてないで着る方が精神衛生上よい。呪われるな。シャツを着て街に出て両手で引き裂け。そして新しいシャツを買え

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2件のコメント

  1. 襟先が妙に黒ずんでる奴さま

    選択回数を記録…!99回で止めるあたりもロマンがあって良いと思います。ドレスシャツなんかはやはり損耗が激しいですし、厳しいですよね。
    私は襟先に糸屑が溜まったことが無いのですが、洗濯ネットに入れる時は色物とは必ず分けますね。今まで襟先が黒ずんだことはないのですが、洗濯ネットさえ使えば襟先が黒ずむことはないのでは、と思っていました。

  2. 襟先が妙に黒ずんでる奴

    私はシャツ毎に洗濯回数を記録していますが,99 回を迎えたところで退いてもらっています.99 回を前に穴が開いたシャツが 50 着中 3 着くらい,内 2 着は 80 回を超えたところでドビーストライプの織柄に沿って生地が裂けました.

    シャツはいつも裏返して洗っていますが,白シャツと色物を分けてはいませんでした.白シャツは白シャツだけで洗うと襟先に溜まる糸くずも白く目立たないものになるのでしょうか.

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