Gold, not old.
Helen Mirren
バーワンっていう足長おじさんから「これを着なさい・・・」ともらった。あれこれ聞いたことあんな~Neverwearで買ってた奴じゃないかな~位には気付いた。
cottleの由来はcottonとkettleらしい。詳しくは知らないがデザイナーは文化服装学院を出、30代でクラスメイトの方と岡山の100年以上の繊維工場を買い、ブランドを立ち上げている。失礼ながら勝手にThe hinokiとかと同じような地方創生系のブランドと思っていた。いや合ってるんだろうけどそういうくくり方されたくないよねごめん。かといってデニム特化のKapitalとも違う。デニム製品はやはりあるみたいだけど。
正直言うとこの手のバンドカラ―+プルオーバーで大ぶりなシルエット、しかも後ろ着丈が長く丸みが自然に出るタイプっていうのは多い。comoliのせいもあるんだろうが、もともとグランパシャツとかの流れがずっとあるのだろう。以前rdv o gloveを着てた時、「それって●●?欲しいんだよね~」と違うブランド名で多く言われたので、定番の型なのだろうか。
細かい事は言わないが、このシャツのシルエットは良かった。大概こういうシャツは着丈を浅くしたり、腕を細くしたりして垢抜けて見えるように調整するのだが、このシャツは特徴的なシルエット調整をしていない。微妙なバランスでふわりと削ってモダンに見せている。このタイプライター生地ありきなのだろうが、良い出来。勝手な話だが、今この手のカジュアルシャツのカフは5.5cmがベストだと思っており、それを指定して作ったシャツもあるくらいなのだが、このシャツもドンズバ5.5cmだった。あら旬。
猫目ボタンが嫌いであるが、さいきんは結構目にするので慣れてきた。金継ぎボタンはこのcottleのアピールポイントらしい。「使い慣れたものを一層魅力的にして使い込んでいこう」といったような意味だ。
ボタンに民芸(?)的な要素を加えるケースはそれほどない。有名なもので陶器ボタンを使っているEELのシャツとかだろうか。ただ、EELは陶器ボタンのシャツとして押し出しているが、cottleはブランドの象徴となっているようで、服の全てに取り入れている。国際的にもMottainai、SDGSなどの背景から何かと話題になるkintsugiなので今、とは思う。やっぱ旬。
襟もカフも1mmステッチ。縫製はやはり真面目。ドメスティック。チェーンステッチを要所に入れているのは特徴として語られていたが、意図はパッカリング。ねじれるアタリが好きな人がいるのだろう。それは使い込みを前提としたディティールである。金継ぎボタンにも込められているそれと同じだが、「末永くよろしくお願いいたします」というメッセージなのだろう。もう製品タグを婚姻届とかにしたらどうか。
生地は優しい印象のベージュで、タイプライターのような80番手強撚糸の生地。アイロンを当てるのはためらわれる風合い。なんとヒノキの天然染色らしい。マクロビオーガニックビオコンブチャ!(発狂)
cottleの由来の一つ、kettleってなんだろう、と思ったが恐らく指しているのはやかん、つまり鉄瓶ではなかろうか。鉄瓶は鉄系調理具にある、経年変化を尊ばれる品物の一つである。南部鉄器の使い込みなどを誇る例などを見たことが無いだろうか。
ブランド名に始まり金継ぎボタンやチェーンステッチ。込められたメッセージは一貫している。経年変化は経年劣化ではなく、エイジングは善である。このシャツの3万円半ばという価格を安く感じるか高く感じるかは、この価値観に沿えるかどうかによるのではあるまいか。
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