渋谷。

rdv o glove、 ランデヴー・オー・グローブ。

オーナーは元SHIPのディレクター兼バイヤー、前淵俊介氏。2012年に立ち上げたお店で、パリの店をこの前閉めたマルセル・ラサンス氏とも親交があり、カジュアル、テーラード、モードをミックスするようなセレクトスタイルが得意。

お店は渋谷の南のハズレに位置しており、玄人好みするブランドをセレクトする。PBがインターナショナルギャラリーで取り扱われており、はじめ見た時はつくりの面白さに国内のブランドだと思わなかった(生地・縫製面の真面目さから国内のものだとわかるようになっている )。


厚手のオックスフォードプルオーバー。

丸襟のオックスフォード・プルオーバーシャツというと、LOLOの不朽の名作LS-3が頭に浮かぶ。でもあのシャツは身幅も腕もタイトだし、フロントポケットや意図的に消した第一釦など独特なディティールを持っており、このシャツは幾分オーソドックス。身幅も一般的なプルオーバーシャツライクでたっぷりしている。

かといって今流行りの40年代とかのビンテージをソースにしたグランパシャツかというと、確かにプルオーバーだし着丈も長いしスリットも長いけど、そこまで野暮ったいわけでもない。

というわけでrdv o gloveの他の服と同じように、カテゴライズできそうもない不思議なシャツ。

丸襟だと可愛さが出るけど、ゴリゴリの素材なのでそう簡単に理解できるシャツではない。

背中心にスプリットヨークとギャザー。スプリットヨーク+センターというと思い浮かべるscyltのセンターギャザーよりも生地分量は多めに入っており、これが背中のたっぷりしたふくらみを作る。それが長い着丈で裾まで逃げていく。

29mmのカフ巾。カフはステッチが端から1mmで縫われている。厚手のオックスフォード生地でこの1mmステッチを縫ったりギャザーを寄せるなんて、さぞかし工場から嫌がられただろう。

裾はラウンドカットで、後ろ着丈がとても長い。

この長さがキモ。背中が丸く取られているのか、背中から裾までがゆるやかに丸みが出る形になる。この形が気に入って面白いなと思い、次にしっかりと細かい所の処理がなされている所にやられたわけだ。

しかし悲しいかな、カジュアル用途のシャツで仕事の時は当然無理。重たい生地なので夏に適さず、春に着るにしても重たい色味で、冬に着るにしても、アウターを着る前提ではこのシルエットを活かせない。結局茶色だし秋しか着る事が出来ないのだが、最近の秋って一瞬で終わらない?

あ、これひょっとして秋では…?とか逡巡しているうちに、いつのまにかみんな重たい色のアウター纏ってない?だからこのシャツのラインは残暑が終わった一瞬にしか活かすことができない。サボテンの花か。

ちなみにこのシャツは別注素材で、本来はずっしりしたリネンキャンバス。そっちはもっとクセのある感じで、通年着られるし馴染むと良いですよとか言われたけど馴染むほど着てられるほど余裕が無い。他のシャツを着なければならないので。