夏。暑い。日本の夏の不快さは気温が問題なのではない。敵は湿度である。
飽和水蒸気量を越えた湿度。

2017年頃だろうか。以前から和紙自体は衣料品に使われることはあったが、複数のブランドで衣料品に登場し、和紙を使ったブランドが増え始めた。markaもこの頃だった。マッシュスタイルラボが和紙をメインにしたUNDERSON UNDERSONを立ち上げたのは2019年。2020年から今まで、出願特許は1.5倍以上になり、無印も和紙混の商品を展開し始める。

そんな中でKaptain Sunshineがヒットを飛ばした。いや実際に売れてたのかどうかわからないが、そのバリエーションや継続したシーズン、展開した店舗からしたらおそらく売れたのだろう。結構な値段だったし。


特徴はその強烈な清涼感。清涼感というか、網を着ている感覚。ガサリとしている。真夏の汗の蒸散とはこのことか、というレベルで蒸散する。リネンのカットソーと似通ったところもあるが、この和紙100%の生地、ゲージが太い事もあり異常に涼しい。エアコンの効いた屋内で冷風にあたるケースなどはむしろ寒いくらいである。速乾、吸収、消臭と機能性に優れ、洗濯機で選択できるという点が化繊の衣類みたいな利便性で人気があった要因なのかと思う。


夏、ハーフパンツが履けるようになった自分にとって、トップスに何とか長袖を持ってきたい、というタイミングが生まれる事になった。真夏なのに。しかしこの和紙Tであれば何とかいける。シャツみたいに袖はまくれない…と思いきやこのロンTはリブがある(しかもそこもちゃんと和紙100%)ので融通も効く。

一方でこの服が好まれない要素としては、経年変化、それがこの和紙素材の特徴である。カサカサになる。リネンと同じなのだが、白化するリネンの良さ、枯れた・褪せた感じを好まない人には受け入れがたいものと思う。
以前、afterhoursでの宮平さんのリネンジャケットを見て「これだよこれ、この枯れ感」と思った(https://ahours.jp/article_dtl/69645/)のだが、それを良しとしない感覚の人からは魅力的に思えない。クリーンな服装の方が今は流行っているし。一般にアメリカを除く海外の方々は、加工の色落ちの方が自然な色落ちよりも評価が高いと聞く。アメリカでは自然な使用感を味として好意的に捉える場合、前提として着用者の”タフさ”によるものだと理解できるストーリーが必要だと聞いた。つまりナードな人間や、エリート層の人間が使用感のあるデニムを履いているのは、日本と比較して好意的には受け止められない、という事だろう。※なんか北欧はサステナ感度が高いのでフェードデニムは「物持ちイイヤツ枠」で割と好かれてるよ、とか言ってた友人がいるんですけどマジでしょうか?

コメントを残す