Sans limite。サンリミット。元コムデギャルソンのギャルソンシャツ担当者、門田さんが手がけた2012年立ち上げのブランド。

夫婦でブランドの洋服を作っているらしい。

上野のアメ横に店があるのだが、店内の雰囲気は下町の雰囲気とクラシックな雰囲気にピンと張った空気が混ざった、モダンな洋服屋という感じ。角の2Fにありながら静かなのも好感が持てる。

関心したのは微細な違いの白ブロードシャツが多種多様にあり、いずれも完成度が高いこと。

フリーダムスリーブという独特なパターンのシャツもあるが、レギュラーの白シャツの種類が多く、そんなブランドを今まで見たことがなかったので圧倒された。

チノパンが優秀だと聞き、雰囲気も含めディガウェルを思い浮かべたが、個人的にはディガウェルより職人っぽくて好み。

 

交番手のブロードに合わせ、ステッチ幅は小さく、主張しない。

適度なイセが入り、目立つものではない。

 

 

袖は二枚剥ぎである。

この前、とあるカミチェリアと「二枚剥ぎの場合ってどういう曲線になってるかまじまじと見ちゃうよね」という話で盛り上がったが、そういう曲芸もなく本当にプレーンな線だ。それを一層鮮やかに見せる少ない縫い代。美しい。

 

根巻が無かったのが個人的には少し残念。根巻くらいはやってもやりすぎることはないんだし、変な土臭さも出ないので良いと思うのだが。まあそんなの気にするのは少数なんだから自分で巻け、ということだろうか。

 

 

 

この襟先である。

ポイントが少し外に向かってるのがキュンと来る。本当に僅かなので、妙なえぐさもなくここでもクリーン。基本的にこういう曲がり方をしている襟は好みである。

ちなみにこれはSH01という定番のシャツの一つ。このほかこのタイプでは珍しいワイドスプレッドも良かったが、SH05というオープンカラーの小襟は特に素晴らしい。小津安二郎の世界やないか、とキュンときた。もう少し年を取ったら買いたいと思うのでそれまで頼むから生き残ってくださいサンリミット様。

 

プレーンなカジュアルのブロード白シャツと言えばCOMME des GARCONS SHIRT FOREVERがある。ナロークラシックとワイドクラシックとベリーナロー(全然数がない)で展開されているミニマルなシャツ。

東京で一番オシャレな人はそれを以て「アガリ」としたらしい(本当にアガれてる?)が、このシャツも「アガリ」の一つとして考えて良いのでは。それに3万を超えるフォーエバーシャツよりも安い。

気になった人はとりあえず上野のお店に行ってみて欲しい。

で帰りに大統領の煮込みか、新東洋のパイコーでも食って帰るといい。上野の空気はゆっくりとしか変わらない。