2010年ごろから出てきて、すっかり高級シャツの仲間入りを果たしたシャツ。
サルバトーレ・ピッコロ。
(正しくはサルヴァトーレなのかな)
ショップ「Drawer」によりレディースが人気を博した為、
市場で先ににぎわったのはレディース。
さて本人のピッコロ氏。
勿論(?)ナポリ生まれ。
おっかさんがカミチェリアだったので、7歳からシャツを工場で作り始め、
16歳で独立、働いていた工場を買い上げるという早熟さ。
日産7枚で軍人とかにシャツを作ってて、評判がよろしかったらしい。
…って児童労働じゃないのかそれ。
イタリアの児童労働は少なくないはずだ。
東南アジアのシャツ工場で児童が働いてたら「ひどい!児童労働!」で、
ヨーロッパのシャツ工場で児童が働いてたら「すごい!早熟の天才!」でいいのか。
これは社会での「職人」の位置づけの違いだろう。
その辺の文化の違いは落合正勝の本か、イタリアのアルティジャネーレについてをあたってくださいませ。
さて、シリアスなお茶は濁して、ぞんぶんにシャツを楽しもう。
今回は身幅をお直ししてもらっている。
ちなみに高級シャツなのでステッチピッチは当然のごとく高いので、
今回はもはや触れない。
この襟型。
これが素晴らしいと思った。
英国的な雰囲気を持ちつつ、
イタリアのシャツにしては控えめな、マジメな開き具合。
個人的にはターンブルカラーに雰囲気が似ているなと思った。
そういったテイストを含んだ作りになっていると店員さんに説明もされた。
結構袖ぐりは深い。
これは身幅をつめているので余計深く見えるが。
ナポリらしい手作業だっていうのがこの袖・方・ヨークに集約されている。
今さらいちいち説明するのも面倒なので省略。
手縫い感丸出しである。
袖ぐりのわりには動きやすいので、手縫いの恩恵はあるのだろう。
たまには内側から。
バックヨークの細かいギャザー。
驚いたのはこれ。
台襟の身頃への縫い付け。
いわばコンストラクションネックバンド?
コンストラクションカラー?
だいたいのシャツはここに縫い目があると思うが、
台襟を手縫い付けだとたまにこの仕様にお目にかかれる。
これで有名なのはもちろん、シャツの帝王ルイジ・ボレッリ。
袖は角落とし。
プリーツが立体的で・・・という話はさておき、
サルバトーレ・ピッコロの特徴の一つに肘のダーツがある。
腕を曲げやすいようにということなのだろう。
こういったあたりは本当に動きを重視するイタリアンシャツだ。
ボタンホールはやっぱ手縫い。
前立ても手縫い。
ガゼットも当然のごとく手縫い。
ハンドメイドは7か所と聞いた。
袖付・ガゼット・前立て・台襟・コンストラクションヨーク・ボタンホール・ボタン付?
カンヌキは前立てとセットか?
でも袖のカンヌキは別カウントでいいのでは…うーん。
業界でこれだけ○箇所ハンドメイドって触れ込みがあると、何がすごいのかわからなくなる。
マリオムスカリエッロとかヴィンチェンツォルジェーロとか、9工程やら16工程やらハンドとかあったな。
そこをハンドで仕上げたことによってどうなるのか?
といったことを教えてほしいものである。
特にガゼットね。
それにしてもこの襟である。
やっぱりブレイクのきっかけはこの雰囲気なんだろう。
フランク&アイリーンなんかもレディースからブレイクしたが、
レディースから来るものは総じて、新しい雰囲気を放つものが多い気がする。
ディティールなんかより、ハッとする衝動を呼び起こす感性をくすぐるもの。
でもフランク&アイリーンは絶対買いません…!
いくらXXSがしっくりきても買いませんよ…!
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