Burini。
ブリーニ。
北イタリアのシャツブランドである。
ところがブリーニは今はもうほとんど見かけない。
(タイユアタイでは今もあるのだろうけど)
というのも、クラシコイタリアの帝王と言われるBrioni(ブリオーニ)に買い取られ、
その傘下でシャツを製造する形に収まっているからである。
ブリーニの本拠は北イタリア、ミラノの東のベルガモにある。
公式によればアルモだとか生地メーカーの本社が近く、良い生地を選びやすいとか。
ブリーニの特徴は簡潔。
「良質な生地」とマシンメイドでの「生真面目な職人技」。
言っちゃえばFRAYと同じような立ち位置にいるのである。
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普通のライトブルーのレギュラーシャツである。
ただ、生地はかなり良い。
特に弾力性が素晴らしい。
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これはイタリアのセレクトショップ別注もの。
襟の開きはクラシコイタリアっぽい、ややワイド。
襟は半フラシで芯はかなり固め。
さて、ではひじょーにウンチクくさい写真になるが、要所のステッチの異常な攻め具合をご覧いただこう。
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台襟の身頃への縫い付け。
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カフの縫い付け及び剣ボロの袖への縫い付け。
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ヨークの前身頃への縫い付け。
これはいずれも、1mmどころではない。
ノギスとかで測ったわけではない目算だが、ヨークで0.3~0.5mm程度だと思われる。
もうここまで来ると執念というか…。
これを維持できる位の良い生地を使用している、というのもポイント。
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袖付。
しっかりと前振りにズレている。
それにしても、裏側ですら真面目な縫製である。一糸乱れぬ実直さ。
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裾にガゼットは無い。
裾巻き幅もまた小さいなー。
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ところでこのシャツ、ボタンに非常に良いものをつかっているのか、
それともボタンホールのかがりが細かすぎるのか、
生地の弾力性が素晴らしいのか、そのすべてなのかわからないが、
ボタンの留め外しの際の「ぷりんっ」という感覚が気持ちいい。
すごく快感で、これはどういうことなんだろうと思っている。
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真面目なシャツの場合、第一ボタンを留めた際に
左右の襟元がキチンと合う。
が、ここまでキッチリ合うシャツは恐ろしくなった。
新品やクリーニング後ならまだしも、何度か洗濯機で洗っているのにこの端正さ。
シンメトリーを好む落合正勝が着ていたのも頷ける。
総合してガゼットだったり、アメフラシだったり、これ見よがしなものが一切無い。
ブリーニを手掛ける職人たちの誇りは、
恐らくストイックなまでの「生真面目さ」なのだろう。
このスタンス、アスリートのようでいて面白い。
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でも、プロだってたまにはミスするのが人間です。イタリアなんです。
チキンレースシャツと呼ぼう。