さて、イタリアに戻ろう。
Anna Matuozzoによるセミハンドライン。
シャルベはフランス最高峰のシャツ屋だが、ナポリのシャツの最高峰の一つと言えば、恐らくここ。

アンナマトッツォである。

マニカミーチャや、袖のギャザーなど、丁寧な手仕事が艶を生む。
これがイタリアのシャツの色気っていう奴か、と思うくらい、
生地・シルエットなど、見事なまでに艶めかしい。
カルゼだと余計エロい気がするのは私だけだろうか。
最近ではもうあまり着ていない。
というのも、着るのには早いのだ。
40代くらいで渋い色気が無いと着られない。
ヨウジヤマモトがまだ着られないのと同じで、精神的に着るキャリアがない。
これをして服に着られるというのだ、と思う。

カフは立体的な仕上がり。
丁寧にギャザーが細かく入っている。
すぼまっているのでしっかり袖で留まる。


釦は厚いしデカい。ボタンホールはミシンみたいだが。
目立つレベルのボタンは個人的には恥ずかしくなってくる。

ヨークのギャザーも。
綺麗とは思わないが手がこんでいる。
襟の縫い付けについては触れない。
ボレッリの時にでも。

もちろん肩のあめふらしも。
ただ、これがアンナを着るにあたってよく戸惑うポイント。
恥ずかしいと思う人もいるくらい、このディティールは目立つのだ。

もはや測ってもしょうがないが。
念のため。
1cmに9針。

写真では顔の良さが全然伝えられないが、襟の長さのバランスが丁度良く、
ジャケットを着た時にラペル裏にさっくり収まり良いバランスになる。

ちなみにこれは袖つけ部分裏。
一定の間隔でタックを入れてるんだが、このつくりはあまり見たことがない。
アンナのカジュアルなシャツには見られなかった。
確か店員に聞いた覚えがあるが、
「いせ込みの一種ですかね」とか適当な答えをもらった気がする。
自分にはミスマッチだ、まだ早い、と買う前には気づいていた。
しかし、どうしても一度は着てみたかった。
シャツ好きなら着てみたいブランドの一つだと思う。
ただこれは、(私が思う)ザ・イタリアンシャツである。
筋トレが前提である。
松本与が追求するような肉体構築美とエレガンスと、あとは健康的なエロさが必要なのである。
アンナおばちゃん。
わかってる。
私にはどうやったって無理だよ。