五万円の超高級品を一枚買うよりも、最初は全く同じブルックスのボタンダウンシャツを五枚購入するほうが賢明だ。

河毛俊作 “一枚の白いシャツ”
賢明ではない皆さんに愛をこめて

The Clasik。マガハのデザイナーとギャルソンのパタンナーを、リラクスがエイヤッと2019年に設立したブランド、という認識。ランドオブトゥモローでずっと見てきたが、毎回手で触って目で見ていて心地よいという服の印象を持っている。基本的なやり方はシンプルな服にテキスタイルブランドを組み合わせてちょっとだけスパイス振って全体はシュッとさせるぜ、といった感じ。こう書くとdisってるようにも思えてしまうが全然そんな事はない。気になるのは妙にコスパが良い事くらい。これで5万しないのだ。

カラーレスシャツ。バンドカラーとは違い、昔の上衿が取り換えられる仕様。そのため取り付け穴のみで第一釦は無い
後ろ襟にも取り付け用のボタン穴が付いている。もちろん(?)上衿は付属していない
デザイナーの田中さんがインタビューで着ていたものと同じである

生地はDJA。ただ生地タグを見るまでもなく、触った瞬間に「あ、ヤバい奴だ」とわかる生地を選んでいる。ただ、そこまで高くないのがポイント。ランドオブトゥモローに別注でカルロリーバの生地を使ったものがあったが、それも目玉が出るほどの値段ではなかった。どのような仕組みなんだろう。やはり業界でキャリアが長い方々なのでそういった強さがあるのだろうか。

まさかと思ったけど前振りだった
もちろん根巻されているボタンは多分白蝶貝で王道11m、1.5m厚
三角ガゼット。裾は5mmの折り返しで、ドレスに振り切っていない感じをしのばせる

ディティールはケチのつけようがない。まあ、服オタ×服オタが「さいきょうの武器を作るぜ」と宣言して作ってるんだろうから、この辺は朝飯前か。

この他、ガーデナーシャツというA&Sのフェイクシャツみたいなのや、クラシックシャツというレギュラーカラーのもある。のだが、その他の商品含め、基本的に古着ソースのディティールがありつつも、シンプルで縫製や生地が良い、というのがほとんど。「ル・マンジュ・トゥー谷昇のおいしい理由。フレンチのきほん、完全レシピ」っていう本があるんだけど、そこに出てくる「鶏むね肉の香草焼き」、それを良い鶏肉で作った時の驚嘆と同じものを味わった。こんなにシンプルな素材と工程なのに、完成度を高めるとここまで美味しいのか、と。

この5mmステッチ幅での角落としになんか英国を感じた
カフはこのブログで何度か書いている、カジュアル今どき袖まくり行けるぜシャツ定番の5.5cm長です

肉を焼くとき、フレンチではアロゼと言って焼いている最中に染み出てくる熱い油をスプーンですくって素材にかける。大したことない一つの動作が仕上がりに影響する。The Clasikでも、そこかしこに仕込まれる目立たないちょっとした一ひねりが、面倒な人をくすぐる。

そこらのシャツでは満足できない服好きに効く、抜かりない服。

でもさすがに今のユーロ高で今後同じクオリティの生地では作れなくなるのではないか