財布の許す限り身装には金目をかけてよい。
ウィリアム・シェイクスピア “ハムレット”
しかし、派手や気障に金をかけるものじゃない。
華美を避け、質の良いものを着なさい。服装で人柄が分かるからな。フランスの上流の人たちは、この道のあか抜けした、生まれながらのくろうとだよ。
松下貴宏さん。パリに住み、自らの熱量を注ぎ込む服作りをするパリジャン。彼が手掛けるのがエムズブラック。服好きがあげるブランドとしていくつか認識しているうちの一つ。scyeとかと同様にm’s braqueは入ってくる。やっぱりだけど、元々はパタンナーなんだよね。服好きが好きなブランドって、本人が服オタのケースか、パタンナーの人な気がしてる。
まあよくもこんなに、と言うくらい服オタ仕様であるディティールが至る所にある。見ていて飽きない。というかよくこの仕様断られ無かったな…MADE IN JAPAN恐るべし。それとピボットスリーブって必ずと言って良いほどパタンナー出自の人の作品だよね。他に見た事あるのってJUNYA WATANABEにscyeだし。って、いつも同じこと書いてるな。
昔このブランドのジャケットを持っていたが、素材はもとよりその腕の曲がり方や身頃のつくり方など、パターンから異質だった。別ラインのle verneuilラインでも同じパターンでのジャケットだったので、もはや松下さんにとってのジャケットは、特殊なパターンありきなのだろう。
火曜。まだなんとか労働の原資は燃えている。m’s braqueのタグには火がある。創造への意欲の炎なのかもしれない。このシャツはその火をうまく取り込んで表に出さず、派手に転じずに着ているもののみが気付ける楽しみに満ちている。その隠された火を拝借し、まだ長い週末へと進んでいく。
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