散財ヤー必読のバイブルといえばソニアのショッピングマニュアル。
物欲が刺激されて仕方ない本だが、
あまり日のあたっていない良いものを紹介している点が良い。
本人の「欲しさ」が滲み出ているからここまでのものになったんだろう。
これ以降フォロワー本がたくさん出たし、名著だと思う。
まあソニアパークが女性なのにメンズライクなものばっかり好きだっていうのも、
読者層を広げた点でヒットの秘訣か。
モノ好きならだいたい知っているこの本。もちろんシャツも出てくる。
びっくりしたのはそこにキャロルクリスチャンポエルが出てきたこと。
オーストリアのファッションデザイナーである彼。
一言で言えばかっこいい変態である。
性的にではなくて。難解な哲学を持った、理論派テーラリングデザイナーだ。
個人的にはコンセプチュアルデザイナーの筆頭だと思っている。
ちなみにブランドのコンセプトは「フェチ」。変態。
テーラー技術を用いて構築的に服を作る一方、かなり独特な素材やつくりになっている。
服の着心地は決して良くはない。どこかで読んだが、それが皮膚感覚を意識させてくれて、
自我のうんたらかんたら・・・とかいう解釈をしていた人がいた。
作るほうも変態なので、着るほうももちろん変態なのである。
そのテーラー仕込みのタイトで構築的なシルエット、
独特な退廃的世界観、ミニマルな印象はユニークである。
(今はフォロワーが多いのでその限りでないような?)
その変態のシャツはこちら。

まず腕の曲線がテーラリングを物語っている。
それもそのはず、後述するがとても複雑なつくりになっている。

ボタンは黒で極めて厚い。石版のような無骨な貝。


さて袖付け。
袖は二枚の布を横で縫い合わされて作られており、
身頃も脇に一枚分切り替えがあり・・・説明難しいな。
2次元で考えた際に体の端が触れる場所に縫い目がないのだ。
腕の下部分や身頃脇部分。
これが何を目指してこうなったのかはわからないが、難しい技術であることは確かだ。

肩はマニカカミーチャさながらのつくり。
まあこんな服だから値段も相当なものだったわけで、
学生時代の俺を散財ヤーの道に引き込んだ立役者はこのブランドだったりする。
あの金でどれほどのものが買えたかと思うと!嗚呼!!