ニコラ・ゲスキエール退任。
ファッション界に大ニュースが走ったのは、あれ、もう半年も前か。
結局、ジルやその他のデザイナーと同じように、
自身のクリエイションが、マーケット追従の経営層の意向に阻害されたことが理由。
その後シグネイチャーブランドを立ち上げるとか話があったが明らかでない。
イケメンデザイナー。シャタブエクタビのサンディ・ダラルとは別のジャンル。

もうとにかく引き締まったシルエット。

ダーツの幅が大胆である。(お値段も大胆である)
しかも長い袖に細いアームホール。
嗚呼、タイト厨。

袖だが、剣ボロが無い。
無いというか、内側に折り込まれ、極力見えないようになっている。

ステッチはギリッギリを直線的に縫っている。

袖の内側。始末も綺麗。

そしてこの顔である。
当然縫い目は見えない、ラングみたいなつくり。
とにかく全体的に始末が神経質なまでに完璧で、クリーン。
ここまで徹底しておいて比翼ボタンじゃないっていうのが、
ストレッチ素材ものは普段買わない自分が購買に至ったポイント。
バレンシアガはひたすら「構築的・クリーン」という印象を突き詰めているイメージ。
でもミニマルではない。
フロントを比翼にしてしまうと、ミニマル感が匂うのである。
「装飾を消しにかかっている感じ」が。
それだとやりすぎなのである。
ニコラのこの清潔感のバランスがとても好きだった。
まあ、もっと考えを突き詰めるとユニクロなんかそれこそ無臭なのだが。
ああ、ある意味ではマルジェラも無臭か?ファブリーズ臭?
ともあれ、これ黒いシャツなので着る機会は少ないんだよな。
欧米みたいに葬儀で着てみたいのだ。