学生の頃にヘルムートラングに魅せられ、音楽でもミニマルにハマり、アートでもミニマルにハマった。
20代前半にして「シンプルな服装だね」と大人に言われる一方、
同年代からは「なにその人生諦めた格好」と言われるようになる。
その頃はとにかくシンプルを突き詰めたかった。
ニットは島精機のホールガーメントを用いた服。
縫い目が横に来ないので着心地が良い、という評価だったが、自分は単にそこに何もないというのが良かった。
パンツはマルジェラのサイドシームレス。a.k.aマックイーンパンツ。
ベルトループとフロントポケット、そして横の縫い目がない。
ボタンホールなのが唯一にして最大の欠点だったが我慢。
靴はプレーントゥのサイドゴア。真っ黒。
ゴア部分は裾で隠す。臭い消し。
シャツはジルサンダー。
ボタンが見えない比翼シャツ。
マオカラーはなんだか共産党か三宅のイメージがあるので無し。
さあジャケット、となったが、ラペルレスやボタンレスはあったのだが、ポケットレスが無い。
これが、いくら探しても無い。
何故だろう。
そこで、ちょっと画像を加工してみた。

・・・。

うむ。
ちょっとバランスがおかしいようなこれ。
ラペルも無くした方がそれっぽくなるのでは・・・とかやっていると、
ラペルレスジャケットみたいになる。(最近で言うとdevoaのやつとか)
そこまで行くと奇妙になる。
映画に出てくるような未来の服みたいに、シンプルがすぎると奇抜になる。
匂いを消しすぎて逆に匂う、とでも言えばいいのだろうか。
行き過ぎた排除はシンプルではなくミニマルになる。
たぶん、ちょうどいい、とか、足るを知る、とかそういうのをシンプルというんだ。
だが、だからこそ。
だからミニマルは面白いと思う。
ラングがアートに傾倒し服から離れても、ジルにかつての鋭さが無くなっても、マルジェラが表舞台から姿を消しても、
ミニマルの美は去らない。
匂いを消しすぎる所に生じる美。
これ以上は語る言葉が無い。