公益財団法人良質シャツ頒布協会主催
第一回良質シャツ検定(第二種:パターン部門)
次の問いに答えなさい。
問1.運針は1cmあたり何針か。(最大5点)
問2.袖は後付、また手縫いになっているか。(最大10点)
問3.カフは袖先に行くにしたがってすぼまり、ゆるやかな円錐形か(5点)
問4.ボタンは鳥足留か、また根巻されているか(最大5点)
問5.身頃の縫い合わせは巻伏本縫いか(5点)
問6.袖の縫い付けは曲線を描いているか(4点)
問7.台襟は平面上に置いた時第一ボタンの方へ持ち上がっているか(4点)
問8.襟の左右を合わせた時柄が合っているか、剣ボロの柄は合っているか(4点)
問9.袖やヨークのハギがあるか(5点)
問10.ガゼットはあるか(3点)

回答と解説
問.1 運針・・・
6針以下:3点
7-8針:4点
9針以上:5点
<解説>細かい場合は細い糸を使い、慎重に縫わなければならない。見た目にもエレガントである。
問.2 袖付・・・
手縫い併用で前振りになっている:10点
手縫い・後付のどちらか一方:5点
どちらでもなく一体縫製である:0点
<解説>手縫いについては、着心地にダイレクトに影響があるかは微妙な所だが、柔らかい印象を生む。
加えて前振で後付袖(セットインスリーブ)にすることにより腕は動かしやすくなる。しかし工程が増えることはコスト高を生む。
問.3 カフの尻すぼみ・・・
<解説>手首に沿って手元で止まる仕様にすることでエレガントになる。直線的でない仕上げが必要。
問.4 ボタン・・・
根巻されている:3点
鳥足留である:2点
<解説>根巻はボタンを留めやすくすることと、耐久性の為に重要な要素。鳥足留なら角度もついてなお留めやすい。
問.5 身頃サイド・・・
<解説>巻伏本縫いであれば縫い目が出ないので強度が高く、内側にインナーを着なくても快適。外からの見た目もステッチの露出が少なくエレガント。工程は大して増えないからかユニクロでもやってる。
問.6 袖ぐりが曲線かどうか・・・
<解説>タイトなシャツであるほど、アームホールが内側に曲線を描いていると手が動かしやすい。しかし曲線の裁断は基本的に工程の増加やエラー率上昇につながるため大抵は嫌われる。
問.7 台襟の持ち出し・・・
<解説>首は曲線である。ゆえにバンド(台襟)はもちろん曲線を描く必要がある。バンドを平置きした際に持ち出し部分末端が上に持ち上がっているようであれば、それは首に沿うように設計されており、ボタンを閉めた際に首元に立体的に沿う。
問.8 カラーの柄の相対性、剣ボロの柄の整合性・・・
<解説>細かいがストライプなどはよくずれていたりする。着るとわからない?いやいや、ストライプだからこそズレてるとわかりやすい。剣ボロは気配りが要されるのに加え、柄を合わせようとするとそもそも生地の取り方でコストが高くつく。
問.9・・・
<解説>スプリットヨークや、立体裁断の袖接ぎなどは微妙だが着心地の重要な要素、立体感に寄与する。柄物のシャツだとなおさら大変だが、その分丁寧に仕上げると美しい。サルバトーレピッコロみたいなダーツも良いが、しっかりした袖接ぎは意外とやっているところが少ない。
問.10・・・
<解説>実は無くても問題ないが、あればいくらか補強になる。現実はデザイン的な側面が強い。ペンタゴン型でしっかり縫い目が隠れているものが個人的には好み。
30点以下の子は場合によっては水底に沈めます。