scyeは以前投稿したけど、リピートして意外に長年使ったなと思ったので。
ドメスティックブランド、scye。パタンナー宮原さんとデザイナー日高さんのコンビだ。宮原さんのパターンメイキングへのこだわりは強く、「すべての縫製線に意味がある」とscyeの服について述べており、海外でも一定の評価がある。古いイギリスの裁断書を図書館までわざわざ探しにいく情熱を持ち、多くの古着からディティールを探したりと、研究家だ。日高さんがデザイン出しをするらしいが、宮原さんはパターンの観点からデザインが現実的かどうかを厳しく見ているんだろうと思う。つまりは素材へのこだわり担当が日高さん、というところだろうか。ふたりとも文化を出ている。二人が知り合った会社はワールドではなかろうかと想像する。
scyeは販促に金をかけず商品力で勝負している。わりと好きなブランドなのに直営店が2017年に出来ていた事を2年遅れて知った。売上は順調で何よりだ。
ワンポイントのサイのロゴは取った。
scyeのオックスフォードシャツは前肩への対応としてフロントヨークの両端が僅かに下がっている。これはヨークを平面で想像すればわかりやすい。(上から見て)前に出る肩に合わせ、ヨークのフロント・両端部分を前に出しているということだ。これにより肩が前に突っ張る部分に追随する。
ブルックスブラザーズのオウンメイクでも登場したバックボタン。
scyeのオックスフォードは曽我部恵一が着ていた。彼は「無添加というか、これで勝負します!的な潔さがあって良い」と述べる。ナチュラル系の肩肘張らないサブカルタイプの人が着るオックスフォードのBDシャツとして、scyeのこのシャツは適切な位置にあるな、と思っている。
袖の裏。scye(サイ)というのは英語で、「アームホール」「袖ぐり」を意味する。「カマ」とも言う。しっかり弧を描いている。また剣ボロ裏は生地端が見えないようにされておりさすがの綺麗さ。
ちなみに、ブルックスブラザーズやバンドオブアウトサイダーズのものより、洗濯時の縮みが継続しない気がする。国産のシャツに縮率の規定があるとは聞いたことが無いが、検品がしっかりしているという事なのだろうか。
洗ったらアイロンをかけずこんな風に引っ掛けておき、適当に羽織る。オックスフォードのシャツとして適切な使い方だろう。どうせなら引っ掛けておいた時に美しいものを選びたい。
パターンがきちんと設計されているブランドの服は、重力に従って落ちる様が美しいと思っている。だからこのシャツも長く着ているのかもしれない。
bengal
okrq様
はじめまして。コメントありがとうございます。
その昔、染色堅牢度のJIS規格が外国と比較して厳しいために色が引き締まって見えがち=ヨーロッパの服と比べ色彩が沈んで見える、というロジックは業界の方にお聞きしたことがあります。
JIS規格で縮率の基準があるのですね。それは勉強不足でした。
恐らくscyeは日本製生地だと思いますので、おっしゃる通りの要因かと思います。
専門性のある方の知識で成り立ってるブログなので、そういうご指摘はうれしい限りです。
okrq
はじめまして。以前某産地の繊維産業で働いていたものです。
シャツの洗濯時の縮みに関してですが、もちろんシャツ自体の検品もあるかもしれませんが、使用されている生地の縮率等含めた検査基準が厳しいため、そうなるのかなと思いました。使用されている生地が日本製(もしくは日本企業製)の場合、ですが。
突然失礼いたしました。
こちらでの文章いつも楽しく読ませていただいています。またこれからも楽しみにしています。