南シャツでの実験ビスポークシリーズ第6弾。前回のゴリゴリビンテージ生地ノーカラーとは全く違う、というかシャツですらないもの。

黒のコート用カシミヤ生地のチョアコート(カバーオール)。

黒い。ヌッとした印象。

以前、「カシミヤでデカいシャツを作りたい」って人を南シャツに案内して作ったことがある。その流れでなんとなく厚いカシミヤ生地で適当なアウターを作りたいなと思っていた。まさか同じような素材で作る事になるとは…。

シャツとジャケットの中間。

気のせいか、ビスポーク界隈で「シャツとジャケットの中間のカジュアルルック」が流行っている気がする。よく見るサファリジャケットもそうだし、上木さんのTHREE AND MOREもそう、100handsもロロのカシミヤジャケットを作ってたし。

このチョアコートはシャツベースなので当然に裏地も芯地も無い。袖通しに多少難があるが、半袖だと逆にカシミヤが気持ちいい。

このくらいの襟の開きが好み。
襟を立てるとコート感が出る。

チョアコートはフランスに起源を持つ作業服。元々は肉体労働に耐えうる丈夫な生地で、動きやすくややゆったりめ、大きいポケットに作業用具を入れる事が出来、簡単に袖を捲れる、そういう機能が求められたブルーワーカーのための服だった。VETRAカバーオールがほぼ同じものみたいなイメージ。

カバーオールは背中にインプリーツなど入れないと思うのでこれは勝手な変更。

上記用途のため、本来は厚手のツイルなど。そこをワンマイルウェアにしたい、という思いでぎっしり目のカシミヤにした。構想やオーダーはコロナの前だったので、本当にワンマイルウェアが主体の時代になるとは想像していなかった。

この素材なのに角丸でないこの印象。これがむしろ気に入った。
正面に縫い目が出ないようにという指定で内ポケットを付けた。ビスポークならでは。

シャツ屋のチョアコートとして作られた型紙なのだから、シャープなディティールの想定である。だからポケットの角とかもアールがない。南さんの着画を見てもわかる通り、夏に羽織るシャツジャケットの想定なのだ。

つまり、結果的に今回もコート生地でシャツの様な細かいニードルワークを要求するという事に。きっと私への怒りでそれぞれの釦の根巻をゴリゴリに巻いていたのではあるまいか。おかげで丈夫ですありがとうございます。

普通にアウターのボタン、というか水牛。結構リッチなので生地と合間って高級感がある。

ワークなのにカシミヤ。厚ぼったいアウターなのに細部はシャープ。そういう望み通りの違和感がある、いい羽織りになった。ちなみにタイトルの“はおれる厚みシャツ”はGISELeの記事にあったから流行ってんのかなって思いました。

反射率が低いのも割と気に入っている。