一年のうち数回しか着られないシャツ。

レザーシャツ。

春と秋が短い最近の日本では着られる気候の日が少ない。休日のアウターになるので仕事の日も当然着られない。しかもアイテムの属性的にコーディネートの幅が削られる。

と、非常にコストパフォーマンスの悪い衣類。ミニマリストに目をつけられたら即座に打ち首・焚書・ジェノサイドの巻物で根絶やしにされるだろう。

普通はライダースを選べば各国首脳会談も円く収まるわけだが、そこはディストピアたる私のクローゼット。米国が先制攻撃をせんと言えどもレザーシャツ保有を辞さない強硬姿勢。

 

フロント、カフなど釦は使っておらずすべてスナップ。苦手。

襟は一枚のレザーで、芯が無い。

また、第二ボタンが高い位置にある。

それらもあってか、レザーアイテムにしてはハード・セクシーなイメージが強くなく、ラムスエードの相乗効果で、他のレザーシャツと比べて上品な印象。

トッズのスエードシャツも大分ラグくて上品だったが、こっちの方が色気がそれほどなく素朴。羊だし。

 

ダブルポケット・ウエスタンヨークなのでウエスタンシャツなのだが、前述の要素でハードなイメージは拭われている。羊恐るべし。

フロントポケットも装飾は入っておらず、一枚の革をパタンとフラップにしてあるだけ。

というかこのポケットのふくらみ、というか佇まい、可愛いと思いませんか。なんか”フムス”って感じで。フムスは中東の料理で何一つ関係ないけど。

 

身頃縫製等は普通に裁ち落としたレザーをレザー用ミシンで縫っただけである。たぶん。というのも裏地で見えない。

裏地はフリースっぽいコットンの総裏。コットンと書いてあるがポリエステルじゃないだろうか。

そもそも、縫製とか生地ってなんなんでしょうか。

ぜんぜんわからない。俺たちは雰囲気でシャツをやっている。

 

ところで、レザーシャツと言えばカルペディウムのウォッシャブルレザーシャツである。あのシャツを巡っては発売当時、「本当に洗濯機で洗っていいのか」「サドルソープの手洗いしか想定していないのでは」などの議論が某匿名掲示板であったように記憶している。

最近ではsisiiとか洗えるレザーが一般的になったが、これはもうスエードだからなのかタグが「洗うな」「Do not wash!」「Non lavaggio!」と百花繚乱のフリ。

よしよし、と慈しむ目で眺めながらも私の心は既にサドルソープと共に在る。

 

サルバトーレ・サントロはナポリの革のメーカーだとか。生産数はそんなに多くはなく、マイナーなファクトリー。

ただ比較的シンプルなものが多く、革質が良い。実はスエードのブラックは私は苦手なのだが、このスエードはダークグリーンっぽい色味が入っており変にギラつかないので気に入っている。

でも本当に出番が少ない。基本的に暗いクローゼットの奥でしんみりと「いややれば出来る子なんだよ僕は」と独り言を呟きながら3年も垂れ下がっている。

以前、変態ファッショニスタkomaki1025にma+のホースレザーシャツを着させてもらったが、あれいつ着てるんだろう。何らかのハードなプレイとか牧場の馬とのおつきあいの時だろうか。

とりあえず今日はラム肉を食べたい。