ベルギーはアントワープのデザイナーに、一人、面白い人間がいる。
名はStephan schneider。ステファン・シュナイダー。
以前は表参道からキャットストリートに行く途中に代理店が存在した。
かのジョイックスが扱っていたのだ。
今ではリフトや、Editionなんかで取り扱われている。
(皮肉にも過去より今のほうが高く、貴重がられている)
彼のクリエーションは普通である。(クリエーションって使うとなんかペダントリーだな)
ほんっとうにふつうの服。
ただちょっとだけユーモラス。しかもそれが気づかないレベルであることもしばしば。
彼の哲学はこうである。
「服はその人を変えてはいけない」
これはすごい。
服の役割は、個人的には二つあると考えている。
ひとつは、自己の社会ステータス顕示。
要は名の知れたブランド。
もうひとつは、自己表現の加速装置。
要はデザイン性・哲学性が強いブランド。
ひとつめはTPOというか、社会での「弁えてますよ」感を演出するという効果と言い換えてもいい。
適当な言葉が見つからない。
とにかく、彼の哲学はどっちにもかすらなかった。
演出そのものを避ける服。
ただ、それでいて構築的なシルエットは崩さず、ユーモアも忘れない。
そのため、安価な服にはない、何か魂のようなものがこもっている。
なんの変哲もないカットソーをひとつもっていたが、
その生地の厚さと頑丈さ、ステッチの見事さ、シルエットの美しさはありえなかった。
服に哲学なんて必要ない、って思っていたが、
ステファン・シュナイダーの哲学は、すごく好きになれた。
こうゆう人になりたいと思わせるようなものだった。それでいて職人というのが凄い。
果たしてあの服が日本で受け入れられることがあるのだろうか。