Tシャツに特に興味はない。けれど、服オタなので繊維には非常に興味がある。結果として、なぜか特殊なTシャツが集まってくる。

atelier comoptiのSTELLAR CONFLICT天竺 S/S Tシャツ

smoothdayのsoft bereeze(コズモラマ)カットソー

YINDIGO AM のULTRA LINEN Tシャツ

colina super120 washable wool tee

利工民のカットソー(薄手/極厚手)

比べてみようかとも思ったんだけど、繊維も形も出自もあまりにも違い過ぎて難しい事がわかった。けどそんな事は無視して書く。

1. atelier comoptiのSTELLAR CONFLICT天竺 S/S Tシャツ

ネイビー。

以前、ファッションブログのElasticにて取り上げられていたのを読んでから気になっていた。が、シャツ専なので第一に投資するのは布帛。編み生地にはなかなかたどり着けなかった。

ところがアルチザン系好きの変態バンドマンという、人生羅生門のようなお方から頂戴し、今は使わせていただいている。

究極のTシャツと表されている点、また10000円を超える価格、さらに低い知名度に限定された販路から、中々気になっている人も当時は多かったと思う。今はdaleさんのブログ効果もありみなが知る所となったため、販路も増えているのではないだろうか。というより、2014年当時よりも「高級なTシャツ」の選択肢が増えたと思う。だって今回紹介する3着の中で最も安いので。

生地感の比喩に利用される我が子

本当に適度な肉厚さで、僅かなもっちり感としっとりした生地感もあった上で、適度に重く、その為ドレープも良く鈍い艶もある、良い生地だなと心から感じる。soft breezeと違ってしっかりした、永く付き合えると思わせるタイプ。

いやしかしこれは良いなと思っており、白も買おうかなと思うくらい。讃岐うどんと表していたのはdaleさんだが、上質でコシのある日常食として中々的確な表現である。

2.YINDIGO AM PY002 ULTRA LINEN T-SHIRT ”和紙T”

麻なのでシワは入りやすいが、アイロンはかけない。リアルな”快適な旅”。

リネン100%のカットソーはあまり無いのだが、個人的に麻が好きなのでフランクリーダーなり色々と試してきた。その中でも珍しいタイプだ。

そもそもこのYINDIGO AM自体が特殊系、異端の極み。不思議系。前々から思ってるんだけど教養を試されるブランドで、アロマ系のアイテムに”MISHIMA”って冠してあって、説明で「わかると思うんだけど三島由紀夫そのもので」とか言われて「あっヤバいなこのブランド」と思ったのも束の間、「幽かなミニマルさはこれでしょ」とか言ってる製品の名前が”Pärt”とかで、「文化資本蓄積を試されている…」と思ってしまった。アルヴォ・ペルトとかぞっこんなので(ALINAは静謐なモダンクラシカルというジャンルでは名盤中の名盤)プラチナエアフレッシュナーは呼吸するように買った。

S字ラグラン。背中にタグ。

スポーツウェアとかコンプレッションウェアで見るS字ラグランなので、割と色も相まってランニングウェア感が出る。そう考えると背中のタグもまあジムのロッカーに引っ掛けておくのかな?と理解はできる。

生地は、麻を和紙と同じ漉き工程を経て作るらしい。触った感じ、サラサラしてパリッとしている。生地が落ちる感じも、はたはたっとした感じ。明確にコットンやウールと違うのは、毛羽立ちが皆無という事。そのためか、清浄な印象がある。紙は神に通じる、と言われる位日本は古来から紙を神聖視してきている事も相まって、一種のきりこ的な象徴の力を感じ、しばしスピリチュアルに浸ることが出来る。

ただ、生地の耐久性には少し大丈夫かな、と思う所がある。2万円を超える価格もあるが、この生地の耐久性なりの品質を向上させるのは至難の業なのではなかろうか。

それにしてもスノーカラー、欲しかったなぁ。神事はやはり白でしょう。カナリアイエローでも良かったんだけど。

3.colina super120 washable wool tee

これも話題の奴。14000円とかする。

メリノウールのカットソーが流行りだしたのはいつからだろう。6年前は、まだ山のギアとして使っている人がほとんどで、一部のマニアックな服好きが生活に取り入れている位だったのでは。当時はワークマンとかで販売されるような気配は無かった気がする。

このタグは位置といい色といい厄介。取りづらいし。

トゥモローランドのウールニットは素晴らしいと思っているし、同メーカーのハイゲージニットをインナー無しで着る事もある。だから「ウールは肌触りが悪くチクチクする」という印象はない。このカットソーも「地肌に着られる位柔らかい!これがウールだなんて!」とはならず、「・・・ヨシ」みたいな感じ。

他のメリノTもいくつか着たものの、このカットソーがネックの具合含め最も好み。確かにメリノTは吸湿性が高く、体温調節機能・消臭機能もあって、肌ざわりも良いので、総体的にはコットンTより優れているのかもしれない。しかし、未だに解せないのはその温かさである。

左がSteller conflict天竺、右がcolinaのウールT。

上で述べた体温調節機能とは、冬はウールの持つ「吸着熱(体からの蒸気によって熱を蓄える機能)」によって暖かく、夏は気化で熱を奪うから涼しい…とかそういう事だが、吸着熱の方が全然強いのでは?と思ってしまうくらい、生地が熱を溜め込む。体は熱くはならない。けれど、動いて生地に触れると生地が暖かい、それが少し嫌。コットンが汗を吸って少しべちょってなる感じの不快さはそりゃあ嫌だが、この暖かい生地感も好きではない。

結構毛羽もあるので、ふわりとした触り心地。生地の落ち感もトロッとして落ちる印象。その感じが秋冬をイメージするからか、結局秋冬をメインで着る。ひょっとすると化繊混の方がこの辺りは解決できているのかもしれないけど、真夏は難しいなと感じた。

左から、smoothdayのsoft breeze、atelier comoptiのSTELLAR CONFLICT天竺、colinaのwashable wool。

どれもドレープが綺麗に出るなと思ったけど、この中だとsmoothdayが断トツで軽く、真夏に涼しい。強撚なので毛羽も少なく、しっとり伸びるのでもう一着欲しいんですけど…あの…オーベットとかでどうすか無理すか…。メーター数万だから無理だよな…。

もちろん和紙Tは真夏大活躍するんだけど、やっぱり最後はコットンだなと思う。コットンが好きなんだとしか言いようがない。あのしっとりした肌がが夏でも恋しい。君を忘れることが出来ない。メリノちゃんみたいな今風のコとか、化繊混のドライなコとか、和紙の無表情な巫女さんも良いけど、やっぱりちょっとじめっとして少しの事でいじける君の事が忘れられない。戻ってきて欲しい。そういう訳でコットン派。ちなみにエルダーステイツマンのカシミヤTシャツもたまに着るけど、あいつ割と飛び道具のくせに着心地といい良い勝負するんだよ。クッソ高かった上に洗うとめちゃ着丈縮んだけど。素肌にカシミヤ、悪くない。

ていうか結局全部一万円以上する無地Tじゃん、どうなってんだよ。Tシャツで一万越え!?布だぜ!!