シャツNo.130 YAMAGAMI SHIRT 山神シャツ 後篇

前回紹介した山神シャツ、今回は細部について紹介する。

何はともあれ内側に食い込んでくる肩が特徴的である。
全体のシルエットや印象について触れようとしたのだが、よく考えたらこれ恥ずかしいぞ。
だって自分の身体について述べるようなものだし。
いちいち語ってたら日が暮れるので、ここはずらっと一挙に。

ガゼットはこういう内側に入れ込む仕上げが個人的には好きだ。


袖付部分だが、上の幅と脇下の幅が大きく異なる。
運動量の確保に貢献する仕上がりということだろうか。
ここまで違うのは初めて見たのだが、これが着やすさに関わっているのだとすれば多くのカミチェリアが取り入れないのはどうしてだろう。
わき下?裾までの縫い幅は(適度に)細いほうが良いものの、稼働が多い部分の幅は一考の余地があるのでは、と考えるようになった。

当然円錐カフだし根巻も抜かりない。
際のステッチや運針間隔も抜かりない。

これである。
独特だがとても美しい曲線を描く襟型である。
FRAYやターンブルカラーなどの「ジャケットの下に自然に入り込む感じ」に似ていて、それでいてよりなんというか、なんだ？
エルゴノミカルというか、人体のどこかにあったきれいな曲線がそのまま滲み出てきたような美しさ。
シャツの顔は襟であり、襟が綺麗であればすなわち美人なのであり、面食いはそれだけで持っていかれるのである。
もちろん私は面食いなのでこの襟に全部持っていかれる。
マフェイスの襟は孤高な気高さが美しいが、この襟は妖艶な危うさが美しい。

今後、オーダーシャツでここを超えるものに出会えるのだろうか。
まだスーツをテーラーで仕立てたことが無いため、テーラーのビスポークシャツも気になってはいるものの、
このレベルを超えるテーラーのビスポークシャツというのは無いのではないか、そこまで思わせる出来である。
脳内で、次は丸縫い…とボソッと聞こえたような気がする。