FRANK LEDERのジャーマンレザージャケット

生地の贅沢。

一般的に贅沢でイメージされるものは、蓮の葉を手で紡いだ生地や、カシミヤシルクのダブルフェイススウェット生地とか、幻の獣毛ビキューナ、340番手のシャツ生地、シーアイランドコットンなど、希少価値があるものや、柔らかくて気持ちの良いものだろう。

でも、男の贅沢には「丈夫さ」を追求することも含む。オーバースペック症候群ともいうべきものかもしれないが、そこでは着心地の良さは二の次で、アイテムとして如何に強く、相棒とできるか、という基準が優先される。※ダナーの

 

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何度かフランクリーダーは出てきているが、ここの代表作の一つがこのジャーマンレザーを使ったジャケットだろう。

ジャーマンレザー。

「ドイツの革」という名の、コットンである。

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モールスキンとも呼ばれるが、一般的な独軍のモールスキンとは厚みも重みも硬さも全く違う。

起毛したこの生地は極寒の地の風を意に介さない。

モールスキン自体、カジュアルやミリタリーではたまに見かける素材だが、こういった落ち着いた表情の服に落とし込まれているのはあまり見かけない。

ビンテージ感や土臭い雰囲気をストイックに取り入れて上品なたたずまいに仕上げるのが、いかにもフランクリーダーっぽいな、と思う。

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ボタンはムスッとした顔でありながら無骨でないので、一見は普通のテーラードジャケットらしい印象だが、そのガツガツな硬さにより、近くでその生地を見たり、所作にすると「鎧?」のような印象を受ける。

2年経ったのにいまだに電車のつり革をうまくつかめない。

この感じ、キャロルクリスチャンポエルのジャケットと似た存在感である。

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自立する。

32ozデニム同様、これをやると笑えるし笑いが取れる。

「狂ってる」というのがアルチザン好きの共通の笑いで、服好きの楽しみで、それは今の「うまくやって熱くならず程々楽しむのがクール」からは外れていて、それをまた「バカだね」といって仲間内で楽しんでる気持ち悪い連中なのである。

実にくだらなくて良い。

 

惜しむらくはシャツでないことである。

とりあえず冬になったので取り出してみたのだが、毎回「なんでシャツじゃないかなぁ」と思ってちょっと残念になるので、もう手放そうと思っている。

この生地のブラウン系の色でシャツを作りたい。

のだが、そもそも縫えるのか、シャツとして成立するのか。

レザーシャツがあるくらいなのでできると思うのだが、誰か作ってくれないだろうか。

実にくだらないシャツができるだろう。

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