シルクを、ウエイトだけで判断するのは危険である。手のひらに丸めて載せたとき、ペラペラせず、手からするするとこぼれ落ちていけば、それは上質なシルク素材である。
落合正勝 “男の服装術”
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金曜はロロピアーナの豪奢な布帛のシャツで。
天下のロロピアーナは編地が強いのは有名だけど、布帛、それもシャツ地ってどうなのよ、って言ったらやっぱりすごいんだけど。凄いんだけどさ、やっぱり縫製の方は自分の基準では十分とは言えないんすよね。
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これはコットンシルクで、いかにも!という上品な発色で、遠目に見ても日に当たって煌めいているのがわかるくらい上質。なんだけども、生地の目が細かく艶があると、むしろステッチ幅とかが気になってしまう。いや~本当にどうでもいいんだけどさ。どうでもいいんだけど、元々細部ばっか目が行く人間としては、手をスッと挙げた瞬時にカフのステッチのピッチが目に入ってきて体調がちょっとだけ悪化するんだよ。もう持病だよね。
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でも、どこまで行っても生地は強い。ある一定のパターン・縫製レベルをクリアすれば、そこから先は生地の戦いでしかなくなってくる。手縫いを施すとかは好きな人からすれば効果的なアプローチだけど、違いがわかるかといったら微妙。その点では高い生地は触ればすぐにわかる。
さすがにビキューナや150番手麻には及ばないけど、これは何より水色の発色がすさまじく良い。光に煌めく様は、クリアな空と雲に太陽の直射が澄んだ空気を通って優しく当たっているかのような印象。
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生地を手に持つと、しゃらりしゃらりと溶け落ちる。コットンとは違う、高級な白蝶貝に通ずるほの冷たい触り心地を持つシルク独特のハリがある。やはり素晴らしい生地だ。
やっぱり金曜だから街が浮かれてるわけで。浮かれ気分にしたがってこういうラグジュアリーな生地を選ばされてしまう。顔はドレスだけど、光芒のような麗しい艶を潜ませた最高級生地。昔友人が、金曜はジムに寄ってインナーT一枚でワークアウトし、その後素肌に上質なシャツを着て帰るのが楽しみなんだ、と言っていた。そのケースでは抜群の気持ちがいいシャツだ。そんな事しないけど。
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