一昨年、「なんにも考えずに裸足で即履ける靴、いやズックが欲しい」と思った。その時点で既に考えすぎている。こんな私が選んだのは…オーダーしかない!なんていう泥沼思考で重篤。危篤。自縄自縛。ロープ染めクソ重バリ硬デニム野郎。

色々と知の巨人の力も拝借して辿り着いたのが、適当で丈夫でいい感じの、平野靴店のイタリアンカンフーシューズ。

去年の夏、Tシャツ中毒末期患者の友人が結婚式を挙げ、服オタ浪費癖症候群御一行様が名古屋にリユニオンした。ので、ついでに立ち寄った。

突然の電話からの「今。6人でェ。押し込みかけていいスカ。今。金ある。」というウシジマ君ばりのフット・イン・ザ・ドア・テクニックにも関わらず「大丈夫ですよーどうぞー」と河合隼雄もひれ伏すオープンマインド対応。

外観は丁寧な暮らしの権化なのだけれど、店内は堅実極まりないビスポークシューズが静かに並んでいる。外柔内剛。本業は剛なのか。でもそっちのけでイタリアンカンフーシューズをオーダー。なんかアバター初期装備にしては防御力が高そうなスリッパもあって重篤コスメオタクと重篤独身貴族はオーダーしてたけど、そっちは知らない。

 

昔はエスパドリーユとかバブーシュとか履いたこともあったんだけど、耐久性ない・傷汚れが嫌な感じ・底薄くて角を踏めない・洗えないなど辛い。そうなるとやっぱいらない・何も・捨ててしまおう・次の靴を探そうmy sole、となるのでもはやHow dare you、エコ自警団が銛を投げてくる。

こっちはレザーなので手入れが出来るし、インフラ業界程度には底堅い。Instagramを見る感じ、経年変化もアジと言って差し支えない。

欧州のレザーのバレエシューズに3万出すなら、サイズや革・一部仕様をオーダー出来て2万はどう考えても破格だろう。納期も一か月半位だったし。

 

 

とにかく軽い。マッケイだし底も薄い。

「スポンジにもできますよ」と言われたのだけれど、そうするとちゃんとした靴感が出てしまうので本意でない。

経年を味わいやすいタンカラー、茶系も良かったのだけど、何も考えずに履きたいズックにしたいが為、黒。黒・シボ・丈夫。もうね、靴も鞄も何もかも、黒・シボ・丈夫がいっちゃん楽。チバ・シガ・サガ。

 

なんか裸足で脱ぐ時にインナーソールが付いてくる靴ない?純喫茶のレーコーに付いてくる紙コースターばりに。あれ本当やめてほしい。ここは湿り気大国日本。亀仙人スタイルが基本。フルコンタクト空手。ヤムチャやクリリンみたいに白ソックスをキメたシティボーイが今はスタンダードかもしれない。が、そこはやはり下町のザジたる私、洗練された大人のヌケ感あるエフォートレスな着こなしケツ食らえ。

上京して高円寺に住み着きヴィレバンでサブカルの上澄みを吸い込んで生きているハイレゾ若人に、テキストサイト運営しながら2ch荒らして浅草で育った叩き上げ老害がドープなワンショットを静脈注射するように、リラックスは理屈じゃねー、一服で気付く。

ちんたら履ける靴、a.k.a丈夫なズック、緻密で頑強な雑、それが本当の楽。

ここまでは買って半年の画像。一年弱履くとどうなるかって言うと、こう。

まだまだいける。

平野靴店のInstagram見るともっとアルチザンな奴ある。