シャツNo.143 PRADA プラダのシャツ

御殿場アウトレットで着て義務的に買ったシャツを紹介しよう。

悪魔が着る衣服、プラダである。

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目次

  1. プラダというブランド
  2. シャツの仕様
    1. ディティール
  3. まとめ

 

1.プラダというブランド

 マリオ・プラダによって1913年にミラノではじまったブランド。グッチ同様にラグい鞄を売っていたらしく、ドレス等を作りだしたのは、後年の低迷状態を救ったミウッチャ・プラダ。メンズを始めたのは90年代に入ってからである。とあるデータによれば、グッチと同様にブランドの支持が最も高い層は60歳以降の人々である。

プラダグループは、現在の3大ラグジュアリーブランドグループから離れたところで生きている。バッグでの女性の評価としては、他の独立系のエルメスやシャネルと違い、格下とみなされているのではないだろうか。長い低迷とミウッチャの復興や、最近の男女差別事件、買収と失速、波乱万丈のラグジュアリーブランドであることは確かであり、それがこのブランドが表す別の意味にもなっている、と私は思っている。

 

2.シャツの仕様について

グッチのシャツ同様に、特段これといった特殊な仕様はない。プラダは毎年定番でストレッチ混紡のシャツや、ジルサンダーの定番シャツのようなミニマルな生地のものもあるが、それでもない。

90年代のミニマリズムのブーム・・・ラングが旗手として担ったそれは、ジルサンダー、カルバンクライン、プラダなどが続いた。その時期に始まったプラダのメンズは当然それを踏襲していたが、チャラヤンやマルジェラが出てきた頃にミニマルなものとしてプラダを選ぶメンズは少なかったのではないだろうか。大半は富裕層の方々がスポーティーなルックを選ぶ際のラグジュアリー方面担当、という位置だと思っている。 

a.袖

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袖付けのステッチ幅はストレッチものと比べて広め。

肩側と脇側で違いはない。

前振り処理などは当然ながら無く、普通の機械縫いでの袖付けである。

アームホールは全く細くなく、富裕層のおじさまのふくよかな二の腕にも十分対応する。

 

b.襟

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やや台襟は角度が付いているが、最近のクラシコイタリアの比ではない。

襟のステッチは無く、モードな雰囲気である。

細いカラーステイがついており、ロゴも入っておりこのブランドらしさを感じる。

タイドアップしても襟羽根が浮くのはまあ、プラダだし仕方ない。

 

c.ディティール

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個人的にはこのボタンは好感を持てた。

やや黄身がかった普通のシャツにあるような貝ボタンなのだが、少しざらりとした感触があり妙なラグさがある。

ツルツルしたボタンであれば何とも思わなかったが、選択の甘さか、それとも意図的なハズしなのか、ツルツルなボタンを選んだ結果の顧客からのクレームに対応したものか、プラダが何を狙っているのかはわからないが、ミニマルなルックから少し離れたこのボタンの異彩が目に止まった。

 

3.まとめ

当然だが、6万も出して買うものではない。12分の1の金でもっと良いシャツが買える。結局、プラダもグッチと同様のものである。アウトレットで少し立地なマイルドヤンキーが、プラダの◯◯を欲しいということで戯れに買い求めるものという位のものだろうか。

その昔、miumiuのメンズのリジッドデニムが好きで、良く履いていた。ステッチもリベットも濃紺で、一色に統一された深いネイビーのデニムは、当時シンプルなデニムオンリーというルールを作っていた自分にヒットした。ミニマルなデザインの服がプラダでも出ることはあるが、最近良いものは見なくなった。手に入れるとすればナイロンのジャケットだったが、もはや欲しくはない。

最後に残る良さとしては、響きである。プラダという接頭語がついて良いなと思える響きは、「プラダのコート」くらいか。ただそれだけ。生き残れるのはことばの響きが良いものだけである。