リネンと言えば、のブランド。nest Robe。ネストローブ。


リネンの服を「丁寧な暮らし」としてイメージ付けたブランドの印象が強い。リンネル感の立役者とでも言えばいいんだろうか。

大阪でカットソーの縫製工場として始まった会社で、ブランド設立後のイメージはとにかくナチュラルに振っている。欧州の古民家風の内装とかで統一されているので、古着とかやってるのかと昔は思っていた。

店舗ではセレクトもやっていて、メンズラインのnest Robe CONFECTにはFRANK LEDER、エンダースキーマ、OLD MAN’S TAILOR、comoliとかaetaとか。ユッタも以前あった気がする。名前が似てるヨウジ出身のRobes and Confectionsもある。あれって紛らわしかったりしないんだろうか。

ワンタックにロッカーループ。ナチュラルなイメージだとロッカーループは付けたくなる気持ちはなんとなくわかる。意味もなく吊りたくなる。

襟端のステッチで、小襟。この開き方は好きではある。

縫製は結構細かめ。この度が詰まった生地のボリュームと質感でこの真面目な縫製なら高級に分類されるだろうな、というレベルだ。

カフ長は小襟に合わせて小さく、腕まくり向き。

ガゼットは中くらいの大きさ。

ディティールをクローズアップしておいてなんだが、縫製がどうとか細部についてどうこう言う服ではない。第一印象で「清潔感があるナチュラル系」と受け取れる生地感と雰囲気を持っていて、それを支えるのは実用的な厚みと上品さを兼ね備えた麻と小さな襟に叩かれるような細かめのステッチである。

それ以外何も言う事がない。「ナチュラル系」というブランドとして他に言うことがない位完成している。

ネストローブは2004年にブランドを立ち上げて以降、05年には青山に直営店を開き、2007年に大阪・京都に進出、翌年には神戸進出。順調に進んできた。なぜ順調にいったのかは確かなことはわからない。一つには総体としての表現、つまりブランドのライフスタイル提案が上手くいっているんだろう。これは「ソトコト」という雑誌が旗を振った「ロハスブーム」が2005年頃から本格化(雑誌売が前比で140%に伸長したとか)したように、ライフスタイルとしてのナチュラルがトレンド化したのに上手く沿い、日本にしては世代でMDを区切らずにライフスタイルでターゲティングに成功した、という事もあるかもしれない。

ライフスタイルを提案するブランドは、どの商品も「そのショップにおいてアイテムひとつで理想的なライフスタイルを想起させる」力が必要だ。店先で皿を手に取った瞬間、その一瞬、陽光差し込む部屋でドイツのリネンのテーブルランナーが白樺のテーブルの食卓に広がりざっくりリネンニットを着たイケメンナイスガイ眼鏡の夫がアンティークナイフでボルディエのバターを優しく微笑みながら天然酵母のデカめカンパーニュに塗りたくるそのパンが載っている皿。そのようにイメージさせなければならない。

私たちが買った服や有象無象は、買った当初は輝いているが家に持ち帰って空間に置いた瞬間その輝きはもう無くなっている。店が提案しているライフスタイルとちぐはぐだから。ヨーロッパのレンガとかを仕入れて壁に埋め込み、アンティークの小物や古民家風の生地を仕入れて店装に使うのは世界観の表現に必要な一つの行為で、決してMD担当者の家に似せたインテリア趣味とか「せっかくブランニューなブランドのローンチだしキモチがアガる店内にしたいじゃない?」という経費の遣い方ではない、のだけれどもそれはあまり理解されない。だいたい「もっと商品の質を良くしようよ」とか「媒体部数増やそう」とかの方が「商品を売ろうとしている」感があり決裁が下りやすい。未だにだ。2005年頃の話をしているのではなく2019年の今、未だに世界観の提案の為の設備投資なんかはわかり辛く、言語化体系化されていない。

ネストローブがどうであったかはわからないが、ブランディング専門のキャリアがあるフィクサーがいなかったのであれば、縫製工場上がりのこの会社のトップの趣味と世界観の徹底力が功を奏したんだろう。

そんなこと…あり得るのか?と未だに店舗を見るたび思っているけれど。