私はデニムを知らない。
知る人ぞ知る、SGF。
ビッグEだとかXXがどうのとか。よくわかんないから、知ってそうな人から聞いた店に行ったら鍛冶屋だったという話。
もう割と前になっちゃったんだけど、トラウザーのデニム探してるんだよねって東京のお洒落な奴に聞いたら「あーイイ感じにこじらせてるしこれなんかどう?どうせあれでしょ、ゴム混だめなんでしょ、生がいいんでしょ生が」と的確なお言葉をいただいた。数パーのポリウレタン、劣化がどうとかいう人いるけど肌にまとわりつく触感が気持ち悪くて苦手。ということで綿100%のプレーンなデニムトラウザーを教えてもらったんすよ。
でもね、割と色々デニムブランドを履いてきたり調べてた中で聞いたそのブランド名は「SGFっつうんだけど」って言われて、え?なにそれ?って。初耳。「SBUじゃないよね」と聞き返した位。
今までのプレーンなデニム遍歴は、tabloid news、miu miu、FULLCOUNT、SOMET、SBU、green、spotted horse craft、stabilizer gnz、jacob cohenときている。ラングとかAPCとかディオールオムは除くとして、この中ではソメとスタビライザーが長持ちした例。結局デニムは向いてないな、と思っていた所、ヤコブコーエンのトラウザータイプ606の履き心地がバッチリだったので「これや!」となったものの、ご存じの通り余計な装飾が多すぎてつらい。よってずっとデニム難民で、デニムトラウザー…デニムトラウザー…とか言ってたいたずらにプレイ時間を稼いでいた。
店に行ってビビった。一般的なガレージの家屋、て感じなんだけど、ノックしても呼んでも応答がない。なんだ…?と思って立ち尽くしていたら、しばらくして蛇にピアスの井浦新みたいな人が静かに中から向かってくるではないか。ああー鍛冶屋じゃんこれ。しまった。試される系の鍛冶屋だ。と思ったけども職人にありがちな見た目怖いけど丁寧なご対応の良い人でした。
ちなみに、オーダー制なので最低でも3万とかかな、と思ってたら割に安かったです。さらりと想定価格を割った。デニムってそんなもんなのか。
かなり細く、股上は浅い。SOMET程ではないが。SOMETを初めて履いた時は、細くて長く見えるそのシルエットに感動して3本買った。あの頃が懐かしい。
これ、着用画像がオフィシャルにあるんだけど、インチアップの着用感が格好良い。少し悔やんでます。
SGFの店主のブログにも書いてあるんだけど「表生地をスレキに使う、そんな発想から生地選びはスタートした。まずは裏地から。」とかっていう変態的発想。「ああーこれはヤバい奴だな好き」としか思えない。
ていうか14ozデニムで0.8cm両玉縁ポケットを作るって普通に出来るような事なのか。
ループはダブルループ。なんだろうと思ったんだけど、ループ下にほつれが出ず、ループの強度とふくらみを持たせる意図らしい。tukiとかで見たことはあるけどデニムは初見だった。
釦。黒い。すごく黒い。ゴリっとしておる。これ、鉄。真鍮の軽い釦と比べるとインダストリアル感が強い。重火器系の色してるけどこれは特殊加工らしい。自分はジップフライ至上主義なのですぐにジッパーに換装するんだけど、これは変えられない。でもこれ、生地もホールも釦もめちゃくちゃ硬いので、最初は本当に扱いづらかった。筋肉と言うか根性が必要だった。店主さんに「これマジでいけるんですかね…?」て言ったら「慣れますんで」と言われた。その通り。この壁ごときを乗り越えられなければ履くことは許されない。本物の拳銃をはじめて人が撃つと反動とか重さに負けてうまく扱えないじゃないですか?知らんけど。たぶんあれと同じだと思う。これは本物のデニムと本物の鉄製釦。ナードな人間に扱える代物じゃないわけ。だから全然無理でした最初。トイレから出るのに10分かかった。指が赤いの。辛い。経年で塗装?が剥げていく様が良いらしいが、全く変わる気配がない。
デニムで黒ステッチ。装飾感を拭い去った感じが工業的だ。miumiuのデニムも黒ステッチだった。PRADAはミニマリズムの観点から黒ステッチデニムが多いらしいのでその流派という事だろうか。確かにデニムのステッチはオレンジやイエローがデフォルトなので、装飾要素を削るとなると暗めの色に変更するという選択肢は浮かんでくる。ただ、この無骨なデニムで黒ステッチだともはや服というより装備といった雰囲気が出てくる。
ちなみに買ってワンウォッシュの時に撮ったのが上の画像。夏場は履けないので履くペースはまちまちだけど、今1年半経ってみて、以下のような感じ。
全然変わりねえじゃん!?いや申し訳ございません!!全然変わりねえじゃん!?いや申し訳ございません!!全然変わりねえじゃ
タイトなジーンズにねじ込むわたしはもう戦えるボディではない。
いつまで履けるのだろう。
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