Santasse Jeans サンタセッ ジーンズ

白い壁、青い扉。某所。

“アメリカの宝石”と呼ばれるのは芸術家が多く住む、南西部ニューメキシコ州のサンタフェだ。Santa(聖なる) Fe(信仰)。ちなみにサンフランシスコは聖フランシスコ。ここまで言えばお分かりだろうが、Santasseは聖人Tasseという事だ。Tasse?誰かって?タッセーオオヌキ、大貫達正氏だ。

小学5年で溜めたお年玉で5万のビンテージジーンズを買うガチのジーンズマニア。WESTOVERALLSを手掛けるデザイナーである。3歳で「ジーンズ」と発音していた…という逸話が語られることもあるが、うちの三歳児も「デニム、はくのー?えー」とか言っているので大した話ではない筈。

右端が定番の801S。いなたい青色が気に入っている

WESTOVERALLSが出てきた時は、今更新しいデニムブランドって、と思いながら半信半疑で手に取った。試着してみて驚く。履きやすく、気持ちが良く、どこにも属さないテイスト。素直に良いと思えた。ウエストの内側に仕込まれたゴムバンド、ウエスマンが無い(オーバーオールをカットして生まれた、という元ネタ)為ベルトレスでもすっきり履けるツラ、細くも太くも無いO脚を隠すシルエットなど、デニムから「履きにくい要素」「カタいイメージ」を削いだものと思っている。801Sはついつい履いてしまうので注意している。

さて、そんな新しいデニムを生み出した大貫氏が”全てにこだわった”として生まれたSANTASSE JEANS。それこそ、糸、生地、副資材、パターン、縫い方、縫う機械、縫う人、その全てにこだわっている。また、いわゆるガチジーンズオタク向けに作られている、というのもある。優れた作品はあらゆる層のユーザーの要望に、あたかも「そのためだけ」に応えたように思わせる構造を持つが、推測だがそれを目指して作られたジーンズなのではないだろうか。

生地は遠州織機で織られた岡山のキバタ。正直言って見ない生地だ。想定よりも少しだけ薄いのは昔の再現のためだろうか。糸はデッドストックの綿糸で、マットで素朴な顔。一時期ジーンズが欠品していた時、この糸が見つからないのが原因だったようなので希少品なのだろう。綿糸は強度として劣るんだけど、Noritake Haradaも綿糸だし、Fendartの901も綿糸だった気がする。流行?

ビンテージのステンシルマシンでサイズ表記がレザーパッチに貼られている。裾上げを後にしたので、下げ札と一緒に送れば下げ札につけるよーとの事。本体に付けたいと思った為、取れてもいいんでレザーパッチに付けてくれないっすかと確認。結果。快諾。送付。戻ってきて、開封した瞬間にすでに取れていたので、アイロンで付くのかな・・・?。はい、文字消えたー!意味ねー!まあそりゃそうか。

ところどころに空環止め(なのか?)がされている。「カラカン」って言って通じる人は大抵アメカジ系の古着に詳しい人だ。Engineered Garmentsとかorslowとか、その手のシャツのガゼットで良く見る。マニア垂涎なのかもしれないがよくわからない。12/29注:有識者によるとカラカンではなく、ただの縫いっぱなしだそうです。失礼。ジーンズわからん。

トップボタンは1920年頃の銀貨。個人的に詳しくないので見たことは無いが、「ああ、ありますよね~」みたいな反応だったのでジーンズではよくある事なのだろうか。通常のジーンズのボタンよりやや薄く、不思議な使い勝手。

レザーパッチはリザードレザー。これは実は一番響いた所。シルエットもそうだけど、ビンテージの無骨なジーンズ、というだけではない何かを感じさせることを大貫氏はする。2回洗濯したら破けた。破けたレザーパッチが好きなので個人的には好きなのだが、作り手の想定はどうなのだろう。

もちろんと言わんばかりにチェーンステッチ。1960年代の501XXを参考に、当時の本物のミシンを利用しているらしい。

鴨川陽介という人に裁断から縫製までしてもらっているらしいが、これがこのプロダクトのキモらしい。Instagramを見て納得する。この人もたぶんニッチな所のトップオブトップ級の人である。大量の見たことがないミシンと膨大の読解不明な説明。何かの炎が見える。デニムってワンピースオブロックの人とかSGFの人とか、何がしか行き過ぎた人が多いのはなぜなんだろう。

いやそれにしてもジーンズに興味がある層ではないのでさっぱりわからない。だからこそ履いているのだが、何かこう…何かがあるんだけどわからないバランスがある。はじめてソシュールの記号論を読んだ時のような感覚。

裾幅21.5cm。32インチサイズでこれ。

ところで、このジーンズは普段のものから2サイズ以上アップして購入して丁度のフィットである。これ、難しい問題で、生地が既にリジッドからある程度縮んでいるようにも思えた。そこから洗うとまた縮んでいる気もするので、縮率が高い生地なのかもしれないし、湿度とかで縮みやすい素材なのかもしれない。こういうのも「そうだよね〜その時代のジーンズってみんな3インチぐらい縮む奴でさ〜」みたいな通のあるあるが潜んでるのだろうか。

RYOKO SCENT FOR KAUFHAUS “SEI”

Santasseは店構え・店内が良い。私は日が合わず大貫さんとはお会いできなかったが、ビンテージの家具や敷物、そこでしか扱っていない数々のものなど、事前アポ制・場所は秘密という高いハードルもあり、体験として価値がある。一切表札が出てないので現地に住む人が外から見たらそこだけ異世界に見えると思う。RYOKO SCENT FOR KAUFHAUSの「世」、というフレグランスも買ったのだが、やはりあまり他で見かけないものが多い。

ただ、このジーンズ8万するのよね。エスタブリッシュな彼女とニアリー。正直、ボタンフライは好きじゃないし、Noritake Haradaとこのジーンズ持ってなかったらFendart 901買ってたと思うし。実用性だったらWESTOVERALLSを選ぶ。希少性とか、ジーンズの背景やディティールにこだわりがある人向きだろう。

ただ、お店は本当に面白いので、関東圏のはずれに行く気力がある人はDMで連絡してみると良いのでは。

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4件のコメント

  1. ナガヌマさま
    ご指摘ありがとうございます、ただの縫いっぱなし仕様なんですね。この辺詳しく無いのですが、ビンテージジーンズは縫いっぱなしが多かったんでしょうかね。

  2. ナガヌマ

    茨城くんだりまではるばる。
    空環はチェーンステッチの延長なので
    ご指摘のとこは誤りかと。

  3. ホンダさま
    SNSとかでしょうか。業界の人でも無いですし、コネも特に無いのですが、最近のリコメンデーションが優れてるのではと思います。

  4. ホンダ

    いつも楽しく読ませてもらっています。
    よく思うのですが、こういった雑誌を読むだけでは見つからないブランドを、どのように掘り当てているのでしょうか?

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