ストック6.ドレイクスのラムアンゴラマフラー

 
ドレイクスのラムアンゴラマフラー。
 
イギリスの老舗ブランド、DRAKE’S。
 
ドレイクスは1977年にアクアスキュータムのアクセサリーデザイナーだったマイケル・ドレイクが創設。今はネクタイ、特に50ozのソリッドシルクで名を馳せたが、最初のコレクションはマフラーであった。
80年代初頭にカシミヤマフラーでブレイクしたそうで、バーバリー、エルメス、エトロなどのOEMなども手がけるようになる。ネクタイはマリネッラのOEMもやったとか。(日本のフェアファクスが今ではドレイクスのネクタイのOEM製造を請け負っていたりする)
2004年からシャツに取り組んでいるようだ。2010年でマイケル氏は引退し、弟子のマイケル・ヒル氏とアーモリーのマーク・チョウ氏が引き継いでいる。当然アーモリーが継ぐのでクラシックモダンな方に舵を切り、最近では露出が増した。
シャツも(確か以前はイタリア製だったんだけど)2013年にサマセットのCleeve of londonを買収し、そこでの生産に切り替えている。
 
 
 
このマフラーはもう何年になるだろうか。7年は少なくとも使っている。
冬場、露出している皮膚の部分のうち冷点が多いのは首裏。そこを守る役目を持つ大事なパートナーである。
 
気に入っているポイントは3つ。長さ、素材、色である。
 
長さ。
私のマフラーの巻き方は基本的にワンループかバックノットがほとんど。面倒な巻き方はしない。
ワンループの時、ネクタイのように垂れる長さが無いとテーラードジャケットのVゾーンから寒い風が入り込んでくる。
また、これより短いとバックノットが容易にできない。
 
素材。
ウールとアンゴラ。
当たり前だが、チクチクするマフラーなどあり得ない。粗悪なウールのマフラーでそういうものがあるが、子供の頃はそれが私にとってのウールマフラーだったのでしばらくウールマフラーは大嫌いだった。マフラーはカシミヤか、軽くて滑らかな肌触りを持つ毛であることが求められる。
水に弱いとされるカシミヤマフラーと違い、水に強いウールと肌触りが良いアンゴラの混紡のおかげで、カシミヤと同等のぬめり・柔らかさを持つ。これがとてもイケる。
カシミヤ100%のBeggのマフラーも持っているが、ヘタりが少し気になっており耐久性の面で不安になったりする。私はこちらの方が気に入っている。
 
色。
カシミヤやアンゴラマフラーの場合、無地だと光沢があるのでこれくらいのマットさと控えめなチェックが丁度よい。ブラウンなので幅広く合わせやすく、自分の肌色にもマッチしていると感じている。このあたりの色柄のセンスはさすが英国のドレイクス。水色やオレンジのラインもぼやけていて丁度良い。イタリアのブランドならもう少し色気を出してくるだろう。
 
 
 
さて、どうでも良い事が気になる私が引っかかるのは「この配合比率」である。ドレイクスは自社工場でこのマフラーを作っているらしいのだがこの配合比率(ラムウール×アンゴラ)は他社も作っている。ヒルトップ、ドレイクス、ベグ、いずれも英国のブランドになるのだがどこもラムウール75%✕アンゴラ25%のマフラーを販売している。ベグはスコットランドに工場を持っておりそこで生産。ヒルトップもスコットランドの別の地域。大概こういう場合は「この配合でヒットしたから」「誰かに寵愛され伝統になったため」「OEM先の提案内容が同じだったから」というストーリーがある。
調べていくとどうもイタリアのLanecardate社が「LAMORA(R)」という商標で作っている素材らしい。オーストラリアンウール×チャイニーズアンゴラ。ひょっとすると、ヒルトップを運営する「F&A Hill社」という創業200年の会社で持つ工場なのかもしれない。ヒルトップはブランド的にそこまで強くない(トップのバランタイン、N.PEALからすると2段階位下か)ため、国内価格でも1万円を割る程に安い。
 
これ以上は私も業界人ではないのでよくわからない。このあたり、現地に行って調べてみたいものである。